「IT教育」が有益である、これだけの理由 今や「できることをやる」の時代ではない

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――子どもが自分の長所を見つけられそうですね。実際、親からの反応はどうですか。

チームで力を発揮することは、子どもたちにとっての成功体験に

「生活態度がよくなった」という感想をよくいただきますね。学校で手を挙げられるようになった、夕ご飯の時間の会話量が増えた、今まで一度も自分で起床したことがないのに自分で起きられるようになった、などです。

子どもたちは、初対面の子たちとチームを組んで、ひとつのことを完成させます。小さなことかもしれませんが、子どもたちにとってはとても達成感のあることで、プチ成功体験と言えると思います。それが、いろいろな物事に対して積極的に取り組むという姿勢につながるのではないかと思います。

「できること」ベースから、「やりたいこと」ベースへ

――2005年に始められたという、「おとコトひろば」も印象的です。

ネット上で子どもたちの作詞作曲の場を提供したのです。たとえば、東京の子どもたちが作った詩に、北海道の子どもが曲をつけてあげたり。地域や年齢を超えて、子どもたちが共同作業をしながら創作できるサイトを作りました。

目的は3つありました。ひとつ目は、子どもたちにはコンテンツを消費するのではなく、自分で作る側になってほしいということ。2つ目は、音楽表現の敷居を下げたいということ。

音楽というと、クレヨンで絵を描くことよりもハードルが高いと思っている子どもが多いと感じます。何か演奏しようと思ったらものすごい練習量が必要で、作曲は一部のプロだけのものだと思われています。でも、たとえば小さな子はよく歌を口ずさみながら歩いていますよね。技術の力を使って、表現の敷居を下げ、音楽はもっと身近なものだということを、子どもたちに伝えたかったのです。

3つ目は、ネット上に広場を作って、協働を促進できる場を作りたかったということです。

何かを作ろうとする際に、「自分ができることは何か」ということから考えがちですが、インターネットを使えば世界中の人と簡単に協働できる時代です。自分自身は詞しか書けなくても、誰かがそれに曲をつけてくれるかもしれない、誰かが歌ってくれるかもしれない。自分のスキルに基づいてやることを決めるのではなく、「これがしたい」というアイデア・発想ありきで、足りないリソースは世界中から集めてきて協働すればよい。そのように発想できれば、有限だった自分の力が無限に広がりますよね。

――プログラミングのイベントも盛んに行われていますが、こちらは少し敷居が高い感じも……。

設立当初からプログラミングのイベントを開いていますが、確かに当時はいちばん人気がなかったですね(笑)。ところが、ここ1~2年で申し込みが殺到し、取材も多くなりました。

その背景としては、国内外でのプログラミングの盛り上がりがあると思います。イギリス、フィンランドでは初等教育で必修になっていますし、アメリカでもオバマ大統領がプログラミングを全国民にというプレゼンを行いました。日本も中学校の技術家庭の中で必修になったことと、政府の成長戦略の中で書かれたこともあり、今やプログラミングブームともいえる状況です。

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