「佐賀県はこんなものじゃない」と発奮
――佐賀県がIT教育で先進的と話題です。佐賀県としては具体的にどのあたりが特徴的で、新しい取り組みだととらえておられますか。
池田:教育の情報化については、国から明確な推進の方針が示されており、佐賀県が全国に先駆けて取り組んでいるとは思っていません。
しかし、その進め方については、いくつか先進的な取り組みがあったと自負しています。たとえば、高校でBYOD(Bring Your Own Device、私物デバイスの業務活用)方式を導入しました。また、教育情報システムについては、校務と学習、教材の管理機能を総合的に処理できる日本初のシステムを構築しています。指導にあたる教職員に対し、独自の研修体系を構築したことも特徴的だと思います。
――IT教育を推進するのには、どんな背景があったのでしょうか。
福田:きっかけは、2006年に行われたPISA調査と翌2007年に行われた全国学力テストです。2007年に国から公表されたPISA調査の分析結果では、日本は、たとえば数学で10位以下に落ちました。調査が始まった2000年には、日本はトップを走っていたのにです。
佐賀県も日本全国の他県と同様、「応用力」や「自ら考える力」が弱いという結果が出ました。また、2007年の学力テストでは、佐賀県の学力は全国平均よりも若干上かと思っていましたが、実際は下回っていました。
このような状況の中で、県議会などからは、「佐賀県の教育はどうなっているんだ」という声が出るなど、教育への関心が高まっていったのです。もともと佐賀は土地柄というか、教育に熱心な人が多いので、「佐賀県はこんなものではない」という意識が出てくるきっかけになったのだと思います。ちなみに、よく佐賀県がIT教育を熱心にやっているのは「国興し」なんじゃないかと言う人がいますが、それとは違います。
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