ですから、ここで扱うワークショップはすべて能動的に作り、見せ、コミュニケーションを取るタイプの活動で、産官学のさまざまな主体が提供しています。ワークショップコレクションは創作・コミュニケーションの祭典なのです。
10年前に始めた当初は、1日500人しか参加者がいなかったのですが、10年かかり、2日で10万人まで参加者が増えました。保護者のニーズの広がりを感じます。
引き出されるクリエーティビティ
――10年前と現在とでは、どのような変化がありますか?
2010年くらいから、子どもたちの様子が変わってきたのを感じました。たとえばタブレットやスマートフォンではなく紙の本なのに、ピンチアウトしたりスワイプしたりしようとする小さい子どもを見るようになったのもその時期です。タブレットやスマートフォンの普及によって、保護者や子どもたちにとってもコンピュータを使う感覚が日常的なものになりました。
その年は電子書籍元年、デジタルサイネージ元年という元年続きの年でした。2020年に1人1台の情報端末とデジタル教科書が使える環境を実現することが政府目標として掲げられ、教育の情報化が大きく動き始めたのもその年でした。
もともとCANVASも学校で活動をしたいと思っていたのですが、活動を始めた当初、なかなか学校には入れませんでした。そこで、課外活動から始めて、社会での学び、家庭での学び、学校での学びをうまくつないでいけないかと、考えました。
そうした中、デジタル教科書の動きは、これまでやってきたことがやっと学校でできるのだととらえ、推進の活動をしています。
――毎年、サマーキャンプも開催されていますね。
はい。毎年、夏休みに大学のキャンパスを借りて開催しています。学校も住んでいる場所も学年も性別もばらばらの、初めて会う子どもたちが4人1組となって、協力しながら、子どもたちだけで3日間かけて、映画や、アニメや、プログラミングによるものづくりなどひとつの作品を完成させます。
粘土を使ったアニメづくりなら、ストーリーを考え、キャラクターを粘土で作り、1コマ1コマ撮影をして、編集をするところまで、すべて子どもたちがやります。
面白いことに、大人が教えなくても、子どもたちはチームの中でお互いの得意不得意をみつけて、自然と役割分担をしていきます。絵を描くのがうまい子は、絵コンテを描き、リーダーシップをとるのがうまい子は、時間管理をしている。ひとりでも抜けたら完成せず、全員の力が必要ということを学んでいます。
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