ただその一方で、『女性が奨学金を借りること』については、正直あまりお勧めしません。というのも、今の時代は女性も当たり前のように働く時代ではありますが、働いていない育児休暇中はやっぱり返済が厳しいんです。
私自身、ひとり目を産んで無収入の専業主婦だった期間が、精神的にも金銭的にも一番苦しかったですね」
高校生には「積極的に調べて」
奨学金制度に対しては肯定的な小柳さんだが、かなりハードな経験を強いられたこともあり、高校生にはこんな考えを持っている。
「借りている最中には感じていなかったけど、やっぱり奨学金は借金だと思います。
だからこそ、積極的に奨学金についての情報を得てほしい。今の若者はスマホでなんでも調べるって言うし、私のようにこの連載にたどり着いた人もいると思います。高校生の頃から、月々の返済額の大きさなどを感覚的に認識できるようになって、覚悟して奨学金を借りるべきです。月々の収入の何%が住居費、光熱費、食費なのかなど、計算できる方法はたくさんネットにあります。
次の世代が使っていくために、私たちは死に物狂いで返しているので、借りる側は借りる意味をしっかりと理解すべきだと思います。お金を借りることの意味を理解しないまま借りて、こんな状態になっている私のような人間もいることを知ってほしいですね」
なお、小柳さんは大学進学時、第一種奨学金(無利子)も借りるように母親に促されていたという。
「母から『借りられなくて残念だね』と言われた時は、当時は何とも思いませんでしたが、今思うと本当に怖いです。そして、審査に落ちてよかったと感じています」
この連載をしているとよく感じることだが、つねに親が子どもの理解者・協力者であるとは限らない。もちろん、恋人や結婚相手もそうだ。
家庭の事情はそれぞれではあるものの、奨学金制度については、自分自身で調べることも大事なのは間違いないだろう。
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