奨学金や生活費に対する私の考えが甘かったと思い、育休の期間を短くして、子どもが1歳を過ぎた頃に私も再就職しました。夫婦揃ってやりたいようにしてきた結果なので、どうしようもないですよね」
再就職した結果、なんとか家計は立て直った。離婚寸前だった夫婦関係も一時的に改善し、その後、第二子も誕生。
しかし、一度入った亀裂は元には戻らず、夫は家を出ていった。以下、わかりやすいように、夫から元夫に呼称を変えて記載する。
「元夫は子どものことを考えて、家財道具一式を置いて出ていきました。でも、恐らく私たちが家を出ていくほうが、彼にとっては損になると考えたのでしょう。借金をひとりで背負うのは嫌なので、私たちを住まわせ、その代わりにローンは私に払わせるというのが一番得策だ、と……。
でも当時の私は深くは追求しませんでした。『親権さえあればあとはなんでもいい』と思うぐらい、うつ状態だったんです」
こうして、名義が元夫のままの家のローンを、自分で払うことになった小柳さん。養育費は一応もらえているものの、奨学金の返済は終わっていないため、月々の返済額は決して少なくない。
そこで、離婚後、住宅ローンの借り換え申請をしたのだが、銀行の担当者から驚きの返事があったという。
「『年収は条件を満たしているが、奨学金の返済があるので、住宅ローンの審査を通るのは厳しい』『今よりも年収を70万円あげるように』と言われたんです。
当時はまだ、250万円ほど奨学金の返済が残っていましたけど、70万円もすぐに収入を上げるのはさすがに無理ですよね。養育費が収入扱いにはならなかったのも驚きでした」
奨学金の有無は、住宅ローンにはそこまで影響しない印象だ。本連載に寄せられる声では、借りた額が1000万円以上の人たちが多い。だが、借り換えになると、そうはいかないのかもしれない。
高校生たちに伝えたいこと
そんな四面楚歌状態の小柳さんだが、そこから転職を経て、現在は収入が増えた。知り合いのFPによると、今の収入であれば住宅ローンの借り換え申請も「なんとかいけそう」と言われているんだとか。
「離婚した今では、大学に進学したことはよかったなと思います。高卒だったら、今ほどの収入は期待できなかったでしょうしね。だから、奨学金制度には感謝の気持ちもあります。
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