「奨学金240万円」借りた女性が抱く父への葛藤

兄にはポンと数百万円出したにもかかわらず…

「物わかりのいい次女」ゆえ奨学金240万円を借りた女性。しかし、兄には…(写真:kazuma seki/iStock)
「10代の若者が数百万円の借金をする」ーー。今多くの若者が大学に進学するために「奨学金」を借りるが、”子どもの判断力”で借金をした結果どうなるかは、意外にあまり知られていない。
学歴社会において「大卒」という肩書きが必須となっている以上、学生目線では「借りないわけにもいかない」という現実もある。「そもそも大学の授業料が高くなっている」「学費を担ってきた親側におしよせる、可処分所得の減少」など、親たちの経済事情も刻々と変わっている。
そこで本連載では、奨学金を実際に借りた当事者たちに取材。「借りたことで、価値観や生き方にどんな変化が起きたのか?」。彼らのライフストーリーを追っていく。

「物わかりのいい2番目」ゆえ240万円借りた女性

「本当に、私の話なんかでいいんですか? 金額もほかの人と比べて多くないし、返済も普通にできていますけど……」

取材場所である、渋谷ストリームに入るコーヒーチェーン店に現れた山岸瞳さん(31歳/仮名)は、席につくやいなや、そう言った。不安げな瞳が筆者に向けられており、先程の言葉が決して表向きではなく、本心から発したものだとわかった。

「もちろん大丈夫です。この連載は、奨学金を借りたことを、ひとつのライフイベントとして捉え、生き方や価値観にどんな変化を及ぼしたか聞いていくものなんです。家や車を買ったりすると、その後の価値観や生き方が変わることって珍しくないですよね?」
「そうですね」
「18〜19歳の若者が、数百万円の借金を背負うことも、同じように重大イベントじゃないかって思うんですよ」

筆者が改めてそう伝えると、瞳さんは「わかりました」と微笑んだ。インタビューの内容は事前に伝えていたものの、改めて確認するあたり、生真面目な人柄なのだろう。

(この連載の一覧はこちら

そんな彼女はどういう経緯で奨学金を借りることになったのか。尋ねると、返ってきたのはこんな言葉であった。

「それはたぶん、私が“物わかりのいい2番目の子ども"だったからだと思いますよ」

聞けば、3人きょうだいの中で、奨学金を借りたのは彼女だけだと言う。

次ページ毎月5万円もらって楽しい大学生活
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 角田陽一郎のMovingStudies
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT