「奨学金240万円」借りた女性が抱く父への葛藤 兄にはポンと数百万円出したにもかかわらず…

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兄と自分で変わる『父親の金銭感覚』

兄と違って奨学金を借りたことに、この頃はまだ不満を感じていなかったという瞳さん。その背景にあったのは「下にまだ妹がいるし……」という気持ちだったが、大学1年の秋に驚きのニュースが飛び込んでくる。兄が、海外に留学するというのだ。しかも、実家暮らしである高校生の妹を使って探ってみれば、費用はすべて父親が出したという。

「てっきり、お金がないと思って奨学金を借りたのに、兄にはポンと出してたんですよ。このときばかりは『なんでお兄ちゃんばっかり! やっぱり、長男がかわいいのか!』と、さすがにモヤりましたよね」

モヤモヤを抱えながらも、物わかりのいい2番目ゆえ、この時は気持ちを飲み込んだ瞳さん。その背後にあったのは「とはいえ、援助してくれるのは今のうちだけで、学生の間までだろう」という気持ちだったが、兄への支援は、自分で稼ぐようになった社会人になっても続いていくことになる。

「兄は昔から見えっ張りで、派手好きな性格。それゆえ、結婚式を誰もが知るような高級ホテルであげたんです。そして、その一部を父に出してもらって……。留学と結婚式を合わせて、どう少なく見積もっても、500~600万円は出してもらってるんですね」

国立大の瞳さんなら、授業料を払ったうえで、お釣りがくる金額である。

ちなみに兄はその後、わずか1年で離婚。また、留学でもそこまで英語力を伸ばせず、仕事では一切活かせていないのが現状だと言う。

今は「地味に痛い」毎月の返済

奨学金制度についてのインタビューのはずが、なぜか親の金銭感覚の話になってきた感もある本記事だが、話を瞳さん自身に戻そう。

世間一般が想像するような「普通」の学生生活を経て、瞳さんは新卒でネット系の会社に就職。卒業から半年が経過した頃に、15年間に及ぶ奨学金返済生活が始まった。9年払ってきた今、思うのは「払えるし、もちろん払うけど、地味に痛い」ことだと言う。

「学生時代は何も考えず、240万円という大金を4年で使い切ったのですが、今は毎月1万4000円引かれるということが地味に痛いです。

とくに、会社を辞めて次の会社を探している無職の時期は、返済にストレスを感じやすかったですね。仕事があってもなくても、奨学金はそんなこと知ったことではないので、毎月口座から貯金が減っていきますから。お金が減っていくのを見ると『早く仕事を探さないと!』という気持ちになります。

1社目は精神的に病んで退職したこともあって、失業給付金が入る前は、『お金がピンチで美容室に行けない』みたいな時期とかは普通にありました」

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