「奨学金240万円」借りた女性が抱く父への葛藤 兄にはポンと数百万円出したにもかかわらず…

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中高公立⇒大学国公立も「奨学金を借りて」

瞳さんの出身は、東北地方の某県。2歳年上の兄、瞳さん、3歳年下の妹というきょうだい構成で、実家は自営業。兄が中高大とすべて私立(なおかつ大学は東京)だったこともあり、「子どもながらに、『うちはわりと裕福な家庭なんだ』と思っていました」と振り返る。

「地方とはいえ、実家は中心的な街の中心部にあるマンションでした。お金に困っているのを見たことはなくて、だから、高校3年生のときに親から『奨学金の話、学校でなかったの?』と言われたときは『借りなきゃいけないんだ……』という衝撃がありました」

兄とは違い、中高ともに公立だった瞳さんは、大学受験でも、関東圏にある国立大学に現役で合格。「奨学金を借りて、生活費に当ててほしい」という父親の頼みを受け入れる形で、18歳にして240万円を借りることになった。

「当時はまだ高校生で、バイト経験もなかったので、一人暮らしをして生活費がどのくらいかかるのかとか、奨学金をどう返していくのかについては、実感はまったくわきませんでした。だから、借りることに対してネガティブな気持ちにもならなかった。父が『借りられるものは借りてほしい』みたいな、軽いテンションだったことも影響していたと思います。学費と家賃は親が負担してくれたので、『恵まれたほうだ』と思ってましたね」

こうして毎月5万円を受け取りながら、幕を開けた瞳さんの大学生活。奨学金について扱ったネット記事や書籍では、いわゆる「奨学金地獄」のような事例が多く見られるが、瞳さんの場合はバイト漬けの学生生活ではなく、むしろ月々の振り込みを、若者らしく喜んでいたようだ。

「毎月決まった日に絶対5万円が入ってくるので『やったー!』と、普通に友達とランチに行ったり、ディズニーランドに遊びに行ったりしていましたね。一応、バイトもやっていましたが、それでも月に6~7万稼ぐくらい。『わざわざ働くなくても、月5万入ってくるし……』という感じで、『借りたものだから、節約して使わないといけないよ』という気持ちにはならなかったです。とはいえ、散財というような遣い方はしてなかったかな。ごくごく普通な金銭感覚だったと思います」

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