「奨学金240万円」借りた女性が抱く父への葛藤 兄にはポンと数百万円出したにもかかわらず…

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奨学金を借りた結果、現金派になる……なかなか独特な変化だが、今でもなお、東京に送り出してくれた両親には感謝していると言う。

「親としても、危なっかしいというか、手がかかる子にお金をかけるのは自然なことかなと、今は思っています。父も、『これからも兄はもっとお金がかかりそうだ』と判断したうえで、私には奨学金を借りるように言ってきたのかもしれないですし。

手堅く頑張ってきたからこそ、きょうだいの中で唯一奨学金を背負っているのは、『損してるなあ……』という気持ちもありますけど、それでも大学の学費は払ってもらっているわけですしね。それで親を恨むのも違うということもわかっています」

最後に、奨学金という制度についても、意見をもらった。

「奨学金という制度そのものも、いいものだと思っています。学生生活で困らずに済んだのも事実だし、そのときにしかできない経験もできたなと。借りずに貧乏暮らしに耐えたほうが自分のためになったかと言うと、そんなこともないと思うんです。

もちろん学費が安くなるとか、そういう変化は歓迎しますけど、一方で自分が借りたお金を自分で返すというのも、ある意味、当たり前のことだと思います。なので、今後も地道に返していきますよ」

父親に対して複雑な気持ちを抱きながらも、それとこれとは別。今後も彼女は今までどおり淡々と、奨学金を返済していくに違いない。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。
千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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