奨学金を借りた結果、現金派になる……なかなか独特な変化だが、今でもなお、東京に送り出してくれた両親には感謝していると言う。
「親としても、危なっかしいというか、手がかかる子にお金をかけるのは自然なことかなと、今は思っています。父も、『これからも兄はもっとお金がかかりそうだ』と判断したうえで、私には奨学金を借りるように言ってきたのかもしれないですし。
手堅く頑張ってきたからこそ、きょうだいの中で唯一奨学金を背負っているのは、『損してるなあ……』という気持ちもありますけど、それでも大学の学費は払ってもらっているわけですしね。それで親を恨むのも違うということもわかっています」
最後に、奨学金という制度についても、意見をもらった。
「奨学金という制度そのものも、いいものだと思っています。学生生活で困らずに済んだのも事実だし、そのときにしかできない経験もできたなと。借りずに貧乏暮らしに耐えたほうが自分のためになったかと言うと、そんなこともないと思うんです。
もちろん学費が安くなるとか、そういう変化は歓迎しますけど、一方で自分が借りたお金を自分で返すというのも、ある意味、当たり前のことだと思います。なので、今後も地道に返していきますよ」
父親に対して複雑な気持ちを抱きながらも、それとこれとは別。今後も彼女は今までどおり淡々と、奨学金を返済していくに違いない。
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