「一言で言うと、典型的なダメ学生でしたね、僕は」
石田慶太さん(29歳/仮名)は現在、人材派遣会社で働く男性だ。関西地方出身で、京都府にある4年制の私立大学を卒業しており、取材オファー時のメールのやり取りも非常に真面目。待ち合わせたカフェにも、パリッとしたスーツ姿で現れた。
それだけに予想外にも思える切り出し方だが、本人は至って真面目な表情で、
「安い酒を飲んでは友達の家の風呂場で嘔吐して、講義には出ずに喫煙所でタバコをふかし、テスト前には友達にレジュメを見せてほしいとねだる……あの頃は本当にだらしなかったですね」
と語る。なにが、彼を真面目なサラリーマンに変えたのか。
5人きょうだいが全員中高私立
慶太さんは、今どき珍しい5人きょうだいの長男である。父は自営業で、「基本的には経済力はあるほうだったと思います」とのこと。基本的には、という表現の理由はこんな感じだ。
「僕らきょうだいは、5人とも中高一貫の私立の学校に通っていました。それなりの進学校だったので、大学に進むのも当たり前の環境でしたね。で、父は儲かりそうな話に手を出すタイプの自営業で、当然、そこには成功も失敗もあった。僕が高校3年生になった頃は、ちょうどうまくいっていない時期だったんです」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら