25歳男性を苦しめる「貧困連鎖」という呪縛

就職は貧困から抜け出す好機だったはずが…

貧しい子ども時代を過ごしたカツユキさん(25歳、仮名)にとって、就職は人生を変える節目になるはずだったが……(著者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

 

この連載の一覧はこちら

「この程度じゃぜいたくだって言われるかもしれませんが」

「たいした話じゃなくてすみません」

カツユキさん(25歳、仮名)は貧しかった子ども時代のことを話すとき、たびたびこう前置きした。

小学校の給食の時間、カツユキさんがまず確かめるのは、欠席しているクラスメートがいるかどうか。欠席者がいれば、余った牛乳やパン、袋詰めの小魚などを持ち帰ることができる。家にはおやつのたぐいはほとんどなく、夕食だけではとてもおなかを満たせなかった。給食を持ち帰ることは禁じられていたが、「恥ずかしいとか、悪いことをしてるという意識はありませんでした。とにかく必要な食糧という感じだったので」と言う。

新品の洋服や外食とは無縁の子ども時代

中学校では、塾に通っている子どもたちや、地域のスポーツ少年団に入っている子どもたちの間でそれぞれにグループができたが、どこにも「所属」することができなかったカツユキさんは浮いた存在で、それがきっかけでイジメに遭ったこともある。テレビゲームとも、新品の洋服とも、外食ともほとんど縁がない日々。高校では、100円あまりのペットボトル飲料を買う小遣いがなく、友人たちの前でのどが渇いていないふりをするのに苦労したものだ。

大学は、浪人はしない、進学先は学費の安い国公立だけという約束で受験。受験料を節約するため、確実に受かる水準の2校に絞って願書を出した。大学では、学費と生活費のためのアルバイトに追われ、短期の語学留学のために海外へ行く友人がうらやましくて仕方なかったという。

次ページ親はどうしていたのか
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 「米国会社四季報」で読み解くアメリカ優良企業
  • 女性の美学
  • インフレが日本を救う
  • 賃金・生涯給料ランキング
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
集中連載「日立 踊り場の先へ」<br>世界で戦える組織へ

成長を確実にする組織の根幹を成すのが、研究開発と人事である。研究開発体制は2015年4月、各研究所に横串を通し、顧客起点の組織に生まれ変わらせた。人事制度もグローバル化がほぼ完了。踊り場から飛躍へ、日立の地固めの様相を追う。