「妻とお義母さんのおかげで、今の自分は存在できているのだと思います」
この連載を続けていると、奨学金制度と同時に「救いの手を差し伸べてくれる存在の重要さ」を強く感じることがある。現在、弁護士として働く火野祐一さん(仮名/31歳)の体験談を聞いた時も、それを強く思った。
中部地方の某県出身の火野さんだが、実家はかなり貧困家庭だったという。
貧困で歪だった実家
「父は何を仕事にしているのかすら、よくわかりませんでした。僕が小学生ぐらいの時は、カブトムシやクワガタの輸出入ブームだったので、それらを育てて売っていましたね。
そんな働きぶりでもなんとか生きていけていたのは、祖母の年金のおかげです。祖父は私が生まれる以前、60歳にもならずに亡くなったため、その配偶者の祖母には2カ月で30万円近くの遺族年金が入っていたそうです。
一応、私が小学生の頃は母も働いていたので、その遺族年金を元になんとか、その日暮らしという感じでした」



















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