記事公開のたびに、多くの応募が奨学金返済当事者から届く本連載。その中でたまに存在するのが元新聞奨学生からの応募だ。今回、Zoom取材に応えてくれた西村俊治さん(仮名/62歳)もそのひとりである。
「新聞奨学生は奨学金というよりも、新聞配達のアルバイトを確保するための制度みたいなものです。今もありますが、昔は新聞の部数もどんどん増えていった拡大期だったんですよ。私の家は経済的に厳しかったものですから、読売新聞の奨学生をやりながら大学に進学しましたね」
西村さんは、本連載で登場した20~30代より2~3回りほど上の世代だが、「時代」の影響がどれほどあるのか、という観点でも取り上げたい。
親は「高校で十分」と言ったが…
西村さんは1960年(昭和35年)生まれ。海を越えたアメリカではジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンが、モノクロテレビで討論会を開催していた時代だ。
「私の両親は中学を卒業してすぐ働いていたため、大学進学に関しては理解が乏しく、『高校まで行けばもう十分じゃないか』と言われました。私自身も大学に進学してまで何かやりたいことがあったかというと、とくにそうでもなかったのですが、ただ、高校が進学校だったこともあって、大学まで進学するというのが『普通』という空気だったんですよ」
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