元「新聞奨学生」62歳が語る"若者への申し訳なさ" かつて日本はもっと「若者に投資する国」だった

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「自分が物事を楽天的に考えられるようになったのも、当時いろんな家庭を見たことが影響していると思います。新聞の集金にいくと、その家族がどういう家族なのかが垣間見えたのですね。とてもいい影響があったと思います」

高校生までは、真面目に生きなければいけないという思いが強かった西村さんだが、新聞奨学生として過ごす中で、気楽に生きてもいいと体感したという。

その一方で、今の若者に対しては複雑な思いもあるそうだ。

「今の若者たちに対しては申し訳ない気持ちもあります。というのも、僕は国の制度や経済成長の恩恵を受けられた、最後の世代だと思うんです。さまざまないい思いを享受できたと言いますか。

でも、今は自由主義の名のもとに、すべてを個人に任せ、自己責任といって面倒を見ない世の中になっていると思います。私が大学を卒業する頃から、そんな風潮に変わっていった気がします」

昔と違って今は社会全体が、若者には不利な作りになっていると感じている西村さん。だからこそ、若者には報われてほしい思いもあるようだ。

「私はまだこの国はそこまでダメにはなってないと思っているんです。大学を卒業して、ちゃんとした企業でしっかりと仕事ができれば老後の心配をするようなことにならないはずですし、もしそうやって真面目に働いても、老後の生活が成り立たないような状況であれば、それは本人が身を超えた贅沢をしているか、もしくは日本という国が完全にダメになっているかのどちらかでしょう。

もちろん、われわれの頃と今は時代が全然違うので、古い考え方や経験を押し付けるのは間違っているとは思いますが、若い人たちにはどうか将来を過度に心配せず、堅実さを大事に生きてほしいですね」

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