「自分の体験談は、地方の貧困家庭出身者の励みになる可能性がある」という応募メールを送ってくれたのは、木村裕介さん(34)。Zoomでの取材が始まると、屈託のない笑顔と通る声が印象的で、若手落語家のような印象を受けた。
しかし、その半生はなかなかに苛烈で、本人も認めるように「ギャンブルのよう」でもあった。
貧困DV家庭に生まれ、バイトして高校に
木村さんが奨学金を借りることになった理由は、父親のDVと、それに伴う両親の離婚だ。以下、DVの描写があるので、フラッシュバックの可能性がある人は十分注意してほしい。
「父親は自分を含む、家族全員にDVをしていました。母が食事を作ってないことに父が腹を立てて、母の髪を掴んで思いっきり壁にガンガンぶつけて、そのまま頭を床に叩きつけたり ……そんな光景を今でも覚えています。僕たち兄弟は全員なすすべもなく、それを泣きながら見ていました。そして母はその後も、殴る蹴るの暴行を受ける……。
父は一応仕事はしていたものの、いつも夜遊びしている飲んだくれで、遅刻を繰り返していたり、お客さんとの約束の時間に現れないことも多々あり、それらをすべて、一緒に働いていた母がカバーしていました。だけど、給料はすべて父のもとに入っていたらしく、母は一切もらえていなかったようです」
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