「奨学金570万円」借りた男性が語る「超逆転人生」 貧困DV家庭出身者が大学院まで進んだ結果

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

リスクを取ることを恐れない、ギャンブラー気質な木村さんだが、奨学金の返済がありながら、投資をしていくことに不安は覚えなかったのだろうか?

「むしろ逆ですね。今は『もっと投資しておけばよかった』と思っているほどです。財形貯蓄は給料から月々5万円天引きされるようにしていたんですが、利子はほとんどつきません。今なら、『迷わず全部、S&P500に投資しておけばよかった』と思います。

……高校生には理解しづらいとは思うのですが、日本の奨学金(有利子の第二種)ってすごく利率が低いんです。多くの人が年2%以下です。一括返済するよりも、S&P500に投資しつつ15年とか20年かけて返済したほうが、複利の恩恵で、高い確率で儲けが出る。と言っても、僕もその計算ができなくて、第二種を一括返済してしまった側なんですけどね(笑)」

攻めの姿勢は社会人でも続いた。新卒で入社した会社で8年弱勤めたのち、「英語を使った仕事をしたい」との思いから、外資系企業に転職したのだ。

「当時、僕のTOEICのスコアは700点台とそこまで高くありませんでした。だから、英語を使った仕事をしたいと上司に伝えても、『他にもっと適した人がいるし……』と言われたんです。当然っちゃ当然だけど、それでも僕は英語を使った仕事がしたかった。そこで転職活動をすることにして。いろんな会社を受けるなかで、僕のことを買ってくれる人に出会い、無事、満足のいく転職をすることができました」

人生を通じて、常にリスクをとってきた印象の木村さん。予備校に一切通わずに大学受験を成功させたことなどを聞くと、さぞかし優秀で、能力の高い人なんだろう……と思う読者もいるかもしれない。

しかし、木村さん自身は、自分のことをこう分析する。

「いえ、むしろ僕の能力値は平均か、もしくは平均以下だと思っています。でも、振り返ってみると、『自分の人生の中で、重要なポイント』は外さなかった気がしています。

たとえば、高校生の時は大学進学を決意して必死で受験勉強したし、大学院に行くと決めた時には躊躇せずに奨学金を追加で借りました。転職の時も、『どうすれば、今の職場の経験を活かしつつ、自分のやりたい仕事ができるようになるか?』を考え、調べて、試行錯誤してみたり 。そうやって、然るべき時に、然るべきポイントを外さずに注意を向けることによって、うまくやってこられたのかもしれません」

次ページ乗り越えた壁が今は「自信」に変化
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事