こうして大学卒業から半年後、高校と大学で借りた奨学金の返済が一斉にスタートした。高校の分が月3000円、大学の分が月2万4000円だったので、合計で毎月2万7000円の返済である。
手取り19万円だった彼女にはかなり厳しい返済状況だが、このときは何とかなった。大学時代から交際していた恋人と、卒業を機に同棲を開始したのだ。
「彼氏は大学時代から交際していた、年上の先輩だったので、すでに働いていましたし、家具や家電もすでに揃えてもらっていました。家賃は折半だったけど、自由に使えるお金もまだありました」
恋人から「おかしい」との指摘
前述のとおり、「高校の分の奨学金は返す」と母親が言ったものの、実際は返してもらえなかった小柳さん。そのことを知った同棲中の彼氏からある指摘をされることになる。
「実は私名義の口座に奨学金は入るものの、管理していたのはすべて母で、私は一切お金の割り振りについて知らなかったんですよね。それで、その話を彼氏にしたところ、『計算合わなくない?』と指摘されて、初めて、母が私の奨学金を使っていることに気がついたんです。
確かに母は、入学時や学期ごとに祖母が結構学費を出してくれたと言っていたのですが、よくよく計算したら4年間の学費は私が借りていた奨学金の額ですべて賄えるんですよ。それなのに、学生時代はいつもカツカツですし、祖母からのお金はどこに消えたのか……」
貧困家庭でも、高校で奨学金を借りる人はそう多くないはず。そう感じた読者も少なくないだろうが、背景にあったのは母の金銭感覚だった。
「母の実家、つまり私の祖父母はわりと裕福な夫婦でそれなりにお金がありました。その結果、母は学費から結婚費用まで全部出してもらっていて、自分で何かを払うことがなかったんです。
しかも、父と結婚して、離婚するまでも、それまで自分が稼いだお金は私達の習い事や自分の趣味にすべて使っていたようで……。父から自由にできるお金を貰えなかったとしても、そんな金銭感覚で生きてきたので、離婚後も切り詰めているようで実際にはやりくりできておらず、かなり浪費していたと思います。祖父母から仕送りしてもらっていましたし、借金もしていましたしね」
また、金銭感覚だけでなく、奨学金への考え方も、小柳さんとの間に違いがあったようだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら