千田:日本の意見を、ETSが吸い上げて作ったのでしょう。というのも、LRの2技能しか試さないTOEICスコアがいくら高くても、英語でコミュニケーションがうまくできない日本人がたくさん出てきましたからね。
TOEICに最初に向けられた代表的な批判は「下から上まで全レベルの英語の実力を測れるというけど、下のレベルはキレイに測ることができないじゃないか」というものでした。それでTOEIC Bridgeができた。次に「スコアが高いのにコミュニケーションできないじゃないか」という批判に応える形で、SWテストができた。どれも、受験者からの声を米国のETSにフィードバックして、テスト開発をやってきたのだと思います。
TOEIC は730か800点で卒業してTOEIC SWへ!
安河内:2004年にはSWテストも登場し、別々の試験であるにはせよ、TOEICテストは4技能のテストにとりあえず生まれ変わったんですよね。ただ現状を客観的に見ると、LRの受験者は年間230万人なのに対し、SWは1万5000人。これでは暴走は全然止まりませんよね。
SWの受験者は毎年かなり増えてきていますが、LRに数年で追いつくほどのペースではありません。この現状をひっくり返すための秘策はあるのでしょうか?
千田:秘策ではないですが、正論として、まずは「LRだけでなくSWもやるべし!」ということを、ずっと言い続けなければなりません。
安河内:私も千田先生のパートナーとして、一緒に言っていきます!
千田:よろしくお願いします。TOEICの発案には、もうひとり、早稲田大学元教授の三枝幸夫先生という影の発案者もいたのです。三枝先生は、テスト開発をするならETSしかないと言って北岡さんにアドバイスした方です。その三枝先生は生前「730点を取ったらもう受けるな!」と言っていました。「受けるよりどんどん使うべきだ」とね。
730点あればコミュニケーションの素地は十分あるんだから、あとは使うことで伸ばそうという考えです。私もそう思います。そして、「TOEICで730点を取ったらSWテストを受けて、発信の世界に羽ばたこう!」と言っています。
安河内:私の個人的な意見としては、800点を超えれば、805点であろうが990点であろうが、もう関係なし。800点超えしたらSWテストだけ受けるというのが、自然な英語力の伸びにつながっていくと思っています。でも現状としては、2000年代前半のTOEICのLRの勢いが強すぎたために、「990点満点」の威力というか呪縛からいまだに抜け出せないでいる。
千田:「TOEIC990点○回連続取得」とかいう人がたくさん出てきましたね。So what?という感じです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら