(1)「英語は『覚えるまで音読する』」はこちら。
(2)「TOEIC満点を目指すだけの人はダメ」はこちら。
TOEIC伝道師の最高点が955点のワケ
安河内:じゃあ、TOEICの受験も以降はせずに?
千田:はい。満点目指すのはストップ。ほかの試験の受験もすべてストップ。だから僕のTOEICスコアは955点が最高なのです。
安河内:それでも、英語トレーニング指導者の第一人者として活躍されているし、英語のスピーチも、実際、お手の物ですものね。
千田:あ、でもその後、TOEIC Bridgeができたての頃に、TOEICに依頼されて受けてみたら、満点取っちゃったな(笑)。
北岡さんが亡くなる直前にこんなふうに言っていました。
「一生懸命TOEICを普及させてきたけれども、日本人が英語でコミュニケーションができないということを、拡大鏡で見せたにすぎない。残念でならない」
TOEICスコアの先にあるもの。minimum standardのスコアをクリアして、「英語を学んで使いこなせるようになれば、こんなすばしい世界が広がっているよ」と、夢描いた世界に飛び込んで生き生きと活躍する日本人を見るのが北岡さんの夢だったのに……。現実にはTOEICスコアで足切りをされて落ち込んでいる人がいる。一方でTOEICスコアが高いからという理由だけで、威張っている人もいる。
TOEICのせいで日本人は英語が話せない、書けない!?
安河内:私の目から見るとTOEICは2000年代ぐらいから暴走が始まった気がするのです。つまり、LRのスコアをチェイスする方向に、英語教育界も英語学習者も猪突猛進するようになってしまった。結果としてLRしか勉強しなくなりました。
2000年代までは、従来、見向きもされなかったリスニング学習を普及させて、日本の英語教育にすごく貢献した。けれども、さらに必要とされるそこから先の進化については、ブレーキをかけてしまっている。ここ7~8年はそんなネガティブな側面ばかりが目立ってきてしまっているように思えてなりません。LRをチェイスするあまり、SWの学習はまったくやらない。日本人の英語学習者が全体的にそういう性質を帯びてきています。
そこに憂いを感じた人が、おそらく、TOEIC スピーキング(S)テスト、ライティング(W)テストを作ったということだと思うんですね。TOEIC SWは米国のETSではなく日本側が発案したテストですよね?
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