働かないオジサンを生む「不安」とは?
「サラリーマンとしての自分」の見つめ直し方

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私は、個人事業主やフリーランスの働き方がよいと言うつもりはまったくない。彼らや彼女たちには、違った意味での大変さがあることも話しているとわかっている。

ただ、商店主やフリーランスの友人と話をしていて、サラリーマンの枠内だけで考えるのは、うまくないと思ったのである。

個人事業主に会うとサラリーマンの自分が見えてくる

あるビジネス雑誌から「社外勉強会や異業種交流会など、会社の外に活路を求める会社員が増えています。楠木さんはどう思われますか?」と質問を受けたことがある。

そのとき私は「会社の枠組みを超えたサラリーマン同士で情報交換するのは悪くはありません。ただ、できれば個人事業主と出会う機会をもっと増やすといいでしょう」と答えた。ここでいう個人事業主は、農業・水産業従事者、デザイナー、大工、小売店主、コンサルタント、理容師、税理士、写真家、プロスポーツ選手、占い師、芸人など数多くの働き方を含んでいる。

共通点は、組織に所属しないで稼いでいるということだ。会社というメンバーシップの中に納まっていない人と言い換えてもいいだろう。

私の例で言うと、芸人さんの話を聞いているときにいちばん、サラリーマンである自分のことがよくわかる。たとえば芸人さんが、いかに発信に注力しているかに気づくとともに、サラリーマンがいかに発信の姿勢にないかということがわかる。また、お客さんに向き合う態度も彼らから学ぶべき点は多い。

プロである(おカネを稼いでいる)個人事業主の働き方を自分の働き方と重ね合わせてみる。そうすると、サラリーマンとしての自分の立場がよくわかる。それだけ自分を深く掘り下げる機会になるのである。

また、「いい顔」で気持ちよく仕事をしている人からのほうが、より学ぶことができる。その人の個性にあった働き方をしている可能性が高いからだ。

目の前にいる人がどうして楽しく仕事に取り組んでいるのか、自分とは何が違うのかと考えてみる。そこから働くことのヒントを発見しようとするのも、ひとつのやり方である。

【セミナーのお知らせ】
書籍『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』の刊行を記念し、セミナーを開催いたします。
セミナータイトル:「イキイキキャリアのための4つの働き方~働かないオジサンにならないために、あなたならどれを選ぶ?~」
日時:11/28(金)13:30~17:00
会場:日本マンパワー本社ビル
詳しくは、こちらをご覧ください。

 

楠木 新 人事コンサルタント

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くすのき あらた / Arata Kusunoki

1954年神戸市生まれ。1979年京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。人事・労務関係を中心に経営企画、支社長等を経験。47歳のときにうつ状態になり休職と復職を繰り返したことを契機に、50歳から勤務と並行して「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演に取り組む。2015年に定年退職した後も精力的に活動を続けている。2018年から4年間、神戸松蔭女子学院大学教授を務めた。現在、楠木ライフ&キャリア研究所代表。著書に、『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『定年後の居場所』(朝日新書)、『定年後』『定年準備』『転身力』(共に中公新書)など多数。

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