私は、個人事業主やフリーランスの働き方がよいと言うつもりはまったくない。彼らや彼女たちには、違った意味での大変さがあることも話しているとわかっている。
ただ、商店主やフリーランスの友人と話をしていて、サラリーマンの枠内だけで考えるのは、うまくないと思ったのである。
個人事業主に会うとサラリーマンの自分が見えてくる
あるビジネス雑誌から「社外勉強会や異業種交流会など、会社の外に活路を求める会社員が増えています。楠木さんはどう思われますか?」と質問を受けたことがある。
そのとき私は「会社の枠組みを超えたサラリーマン同士で情報交換するのは悪くはありません。ただ、できれば個人事業主と出会う機会をもっと増やすといいでしょう」と答えた。ここでいう個人事業主は、農業・水産業従事者、デザイナー、大工、小売店主、コンサルタント、理容師、税理士、写真家、プロスポーツ選手、占い師、芸人など数多くの働き方を含んでいる。
共通点は、組織に所属しないで稼いでいるということだ。会社というメンバーシップの中に納まっていない人と言い換えてもいいだろう。
私の例で言うと、芸人さんの話を聞いているときにいちばん、サラリーマンである自分のことがよくわかる。たとえば芸人さんが、いかに発信に注力しているかに気づくとともに、サラリーマンがいかに発信の姿勢にないかということがわかる。また、お客さんに向き合う態度も彼らから学ぶべき点は多い。
プロである(おカネを稼いでいる)個人事業主の働き方を自分の働き方と重ね合わせてみる。そうすると、サラリーマンとしての自分の立場がよくわかる。それだけ自分を深く掘り下げる機会になるのである。
また、「いい顔」で気持ちよく仕事をしている人からのほうが、より学ぶことができる。その人の個性にあった働き方をしている可能性が高いからだ。
目の前にいる人がどうして楽しく仕事に取り組んでいるのか、自分とは何が違うのかと考えてみる。そこから働くことのヒントを発見しようとするのも、ひとつのやり方である。
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