「あの人は私に悪意がある」と考えすぎる人の盲点 感情的な論理で、ありもしない意図を見いだしがち

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目の前の現象にまったく意図がない場合も少なくありません(写真:mits/PIXTA)
「ハンロンのかみそり」という思考法があります。不必要に「他者の悪意」を想定してしまう人間の思考の癖を防ぐ考え方で、「正しい可能性が最も高い説明は、最も『意図』が絡まないもの」と古今東西の知識人たちの思考を発信するシェーン・パリッシュ氏は話します。偏見にとらわれない思考のコツとは?
*本稿は『知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル』を一部抜粋・再編集してお届けします。
前々回:目の前の問題しか見えない人と先を読む人の大差(1月18日配信)
前 回:仕事のできない人は「単純に考える」ができてない(1月25日配信)

「車の割り込み=悪意」は割に合わない

「ハンロンのかみそり」とは、相手の行為が単なる「間違い」で説明できるのであれば、必要以上に悪意を想定してはいけないという考え方です。複雑な現実世界でこの考え方を取り入れれば、相手を必要以上に疑ったり、固定観念に縛られたりするのを避け、ある現象における別の「第3の可能性」に気づけるようになります。

例えば、あなたが運転する車の前に他の車が割り込んできたとき、あなたはどう感じるでしょうか? 車の割り込みが悪意によるものと考えれば、あなたは同時に「割り込んだドライバーは大きなリスクを冒している」と想定していることになります。

その割り込みは本当に悪意に満ちた行為?(写真:yasu/PIXTA)

故意にあなたの邪魔をするためには、かなり高度な技術が必要です。まずあなたの存在に気づき、あなたの車の速度を読み、進行方向を考慮し、あなたにブレーキを踏ませるのにぴったりのタイミングで割り込み、それでいて事故を起こさないようにする。果たして、邪魔することが目的の相手がここまで計算するでしょうか?

より単純でより可能性の高い説明は、「相手があなたに気づいていなかった」というものです。ただのミスであり、何も意図はなかったという解釈が最も真実の確率が高い。それなのに、なぜ私たちは「故意に割り込んだ」とつい想定してしまうのでしょうか?

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