仕事のできない人は「単純に考える」ができてない 複雑な要素を削ぎ落としてこそ、最適解に近づく

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ビジネスレジェンドが揃って大切にする「シンプルな思考」のコツ。これが鉄則です(写真:rainmaker/PIXTA)
「オッカムのかみそり」という思考ツールをご存知でしょうか? 「ものごとを考える際、不必要な仮定をいくつも立てるべきではない」と述べた中世の論理学者ウィリアム・オッカムにちなんだ思考法で、思考をめぐらせるとき最も単純な解釈を選ぶべきというメソッドです。
この「シンプルな思考」を成功の要諦に挙げる成功者は多く、ウォール街で情報発信を続け支持を集めるシェーン・パリッシュ氏は「複雑な要素を削ぎ落としてこそ、最適解に近づく」と先人たちの頭の中を説きます。パリッシュ氏の著書『知の巨人たちの「考え方」を一冊で、一度に、一気に学びきる グレートメンタルモデル』より一部抜粋・再編集してお届けします。
前回:目の前の問題しか見えない人と先を読む人の大差(1月18日配信)

IBMを救った意外すぎる社是

1990年代前半にルイス・ガースナーがIBMのCEOに就任したとき、同社は創業以来最悪ともいえる苦境にありました。多くのビジネス評論家からガースナーがトップとしてビジョンを示す声明を発表するよう求める声が上がります。どんなマジックを使ってガースナーはビッグ・ブルー(IBMの愛称)を救うのか、と。

それを受けたガースナーは次のように発言します。「素晴らしく優秀な人々が働くIBMという組織は、成功するための大胆なシナリオがあれば喜んだだろう。そのシナリオが知的で複雑なものになればなるほど、みながそれを気に入ったはずだ」

しかし、彼はシンプルなアプローチが最も効果的であることにも気づいていました。そこで彼が出した声明が、「今のIBMにとってもっとも必要ないものはビジョンだ」です。

IBMにとって本当に必要なのは、顧客にきちんとサービスを提供し、現在行っているビジネスの競争力を強化し、すでに利益を出している事業に注力すること。言ってみれば、「なりふり構わず、目の前のことに集中する」という宣言のもと、1990年代末までガースナーはIBMを牽引し、壮大なビジョンや大規模な技術変革を伴うことなくIBMを窮地から立て直すことに成功したのです。

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