仕事のできない人は「単純に考える」ができてない 複雑な要素を削ぎ落としてこそ、最適解に近づく
IBMを救った意外すぎる社是
1990年代前半にルイス・ガースナーがIBMのCEOに就任したとき、同社は創業以来最悪ともいえる苦境にありました。多くのビジネス評論家からガースナーがトップとしてビジョンを示す声明を発表するよう求める声が上がります。どんなマジックを使ってガースナーはビッグ・ブルー(IBMの愛称)を救うのか、と。
それを受けたガースナーは次のように発言します。「素晴らしく優秀な人々が働くIBMという組織は、成功するための大胆なシナリオがあれば喜んだだろう。そのシナリオが知的で複雑なものになればなるほど、みながそれを気に入ったはずだ」
しかし、彼はシンプルなアプローチが最も効果的であることにも気づいていました。そこで彼が出した声明が、「今のIBMにとってもっとも必要ないものはビジョンだ」です。
IBMにとって本当に必要なのは、顧客にきちんとサービスを提供し、現在行っているビジネスの競争力を強化し、すでに利益を出している事業に注力すること。言ってみれば、「なりふり構わず、目の前のことに集中する」という宣言のもと、1990年代末までガースナーはIBMを牽引し、壮大なビジョンや大規模な技術変革を伴うことなくIBMを窮地から立て直すことに成功したのです。
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