仕事のできない人は「単純に考える」ができてない 複雑な要素を削ぎ落としてこそ、最適解に近づく
次の例は生死に直結する問題をシンプルな方法で解決した事例です。
1989年、インドのガンジス・デルタ地域でベンガルトラがおよそ60人の村人を殺害しました。送電線を巻きつけた人形にトラをおびき寄せ、電気ショックを与えて人間の住む場所から遠ざけようとするなど色々な方法を試しましたが、どれも効果はなし。
複雑なものをシンプルにするのが創造性
そこで、カルカッタ科学クラブに所属するある学生が、虎は獲物に自分の姿が見えていないと判断したときにしか攻撃しないと気づき、蝶や甲虫、毛虫の一部の種は大きな目に見える模様を持ち、捕食者に対して「獲物も自分を見ているのだ」と思わせていることを思い出します。
それを応用して作ったのが、後頭部に装着する「人面マスク」。それからの3年間、マスクを着用した人は誰もトラに襲われませんでした。その期間、トラに殺されたのは、マスクの着用を拒んだか仕事中にマスクを外した人だけ。シンプルな「マスクをかぶること」以上のトラ対策はなかったわけです。
不必要な複雑さは、誤りを覆い隠してしまうことがあります。要素が増えるほど、道筋が複雑になるほど、最も大事なことがぼやけてしまうのです。アメリカの作曲家チャールズ・ミンガスが言うように、「シンプルなものを複雑にするのは誰にでもできる。創造性とは、複雑なものをシンプルにすること」なのです。
問題にぶつかったり解決策に悩んだりしたときには、複雑に考えすぎていないか、もっとシンプルに考えられないか、「オッカムのかみそり」を思い出してみるといいでしょう。
前回:目の前の問題しか見えない人と先を読む人の大差(1月18日配信)
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