ソフトバンク本拠地はサプライズ球場 12球団のホームグラウンドへ行ってみた<4>

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基本的には良いことづくめだったが、「座席って、難しいなあ」ということをあらためて感じた観戦だった。真後ろの席にいた女児に、観戦中2度も土足で背中にケリを入れられてしまったのだ。

真後ろの席に座っていたのは、30歳代半ばらしき夫婦に小学校低学年の男の子、それに3歳くらいの女の子の4人家族。筆者の文字通り真後ろはお父さんで、女の子のチケットは買わずに入ったようで、女の子は通路沿いに座るお父さんの膝の上。この球場は4歳以上でチケットを買わせるので、おそらくこの子は3歳くらいなのだろうと思う。

初回裏が終わると早くもぐずって、お父さんの膝の上で足をばたつかせはじめ、目の前の筆者の席の背もたれをがんがんと蹴りはじめた。

周囲に誰が座るかわからないリスク

最初、ケリを入れられたときは何が起こったのかわからず固まってしまったのだが、2度めのケリでは少しだけ後を振り向いてみた。その後、お母さんは、たまに娘に注意をするようになったが、お父さんはとうとう一度も、自分の膝の上の娘を注意しなかった。背もたれを蹴られても全然気にならない人って、一体どのくらいいるのだろうか。

直接背中を蹴られたのは2回だけだが、結局この女の子は一家が席を立つまで、筆者の背もたれを断続的に蹴り続けた。程度に差はあっても、こういうことが一定の確率で起きるのが野球場でもある。

周囲に誰が座るかわからない。そのリスクを確実に回避できるのは、他の席に逃げ出すことが可能な、空(す)いている球場だけだ。だが、ソフトバンクは巨人、阪神に次ぐ集客力を誇る人気球団である。残念ながらこの日のヤフオクは満員御礼。逃げ出せる先はなかった。

筆者が長年、神宮に通い続ける最大の理由は、「空(す)いている」球場だからにほかならない。球団や球場と観戦客の利害はしばしば相反するのである。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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