林:それほどでもありませんけど、ただ、転校先で、「林くんと遊んじゃいけないよ」という親は多かったですね。
塩野:なんでですか。それはいちばん傷つきますね……。
林:子供だから、聞くと理由を答えてくれるのですが、「片親だから」と言った友達が2人いました。家庭環境が悪いというイメージがあったんでしょうね。もっともこれは転校したあとのことで、僕や僕の家族のことをよく知らなかったからかもしれない。
塩野:経済環境もガラッと変わったのですか。
幸せは長く続かない
林:本当に貧乏になりましたね。母親も口癖のように「お金がない」と言っていたので、「ああ、大変なんだ」とずっと思ってました。だから幸せは長く続かないという人生観を持つようになった。エイチームの最初のヒット作は、携帯電話の公式サイトでした。それで事業の基盤をつくったのですが、僕はそのころから「これは続かない」と思っていた。その当時はすごくおいしいビジネスモデルだったんですよ。でも続かないだろうと思った。だからライフスタイルサポート事業も手がけ始めて、いち早くスマートフォンへの移行も済ませた。もちろん紆余曲折、苦労もありましたが、おかげで今があるという感じです。
だから「今から100年続く会社を目指す」というメッセージを出しているのは、「続くためには、自分たちが変化に挑戦しないといけないんだよ」ということを、社内のみんなに知ってもらうためです。
塩野:そうでしたか。逆説的なメッセージですね。
「幸せ」というと、社員同士、仲がよくて和気あいあいとしたムードをイメージしますけど、みんな家族みたいな感じなんですか。
林:うーん、「家族」と言い切ってしまうとちょっと胡散臭いので、「仲間」と言ったほうが正確ですね。目標を一緒に達成するための仲間という感じです。
塩野:私なんか転職が多くて、なおかついろいろな会社やマーケットが崩れていくのを何度も見ているので、「会社は目的地に向かうための乗り物にすぎない」という感じがあります。あまり家族とか村という感じはしない。それより「仲間が乗っている船」みたいな感じが強いですね。ほかの船に乗り移るのは自由、みたいな。
林:一般的に海外の方なんか特にそういう傾向がありますよね。
塩野:いま外国人の方はどれくらいいらっしゃるんですか。
林:十数人ですね。みんな日本語を話しますよ。
塩野:今後は日本語を話さないような方も入ってくるんですか。
林:いまのところ予定はありませんが、それでも問題ないと思います。日本語を話せる人が間に入ってくれればいい。
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