熱量を持っている部下には、仕事を任せる

いかに任せるか、どう怒るか、を模索中

●前編はこちら

コーチングじゃなくて「放置ング」

塩野:前回、須藤さんはADのような下積み時代に、周囲に気遣いばかりしていると創造性が奪われる、みたいなことを言っていたでしょう。でも私は周りの若い子を見ていると、もうちょっと周りに気を回そうよ、って思いますよ。何か雑用があれば自分が率先してやろうよ、マジで、みたいな。

須藤:(笑)そうなんですか。

塩野:キャリア形成の初期にいちばん必要なのは気遣いじゃないか、と思うことすらありますよ。今の子は何でも自分から望む前に大人に与えられるから、自分から先回りして気遣いができる子が減ったのかもしれない。自分から欲しいと思う間もなく与えられてしまう不幸ってあると思うんですよね。たとえばいっそのこと、「お前は音楽を聴くな!」とか言われたほうが、音楽に対して渇望するでしょう。親に隠れてドキドキしながら音楽を聴くみたいな。そういう喜びってあると思うんですよ。仕事に必要なこともあえて教えない、くらいにしたほうが、学びたいという飢餓感が生まれると思うんですけど。その飢餓感が創造性を生む、と。

須藤:僕は若い子には細かいことを手取り足取り教えるというより、アーティストに近づけてあげることが多いですね。一人ひとり、表現する人とかと触れ合ってみると、やっぱり一流の人はみんな並々ならぬ努力をしている。それと人との距離感がなんとも心地いい。それは近くにいればすぐわかるものなんですよ。だから僕はなるべく現場に行かずに、若いスタッフに現場を全部お任せします。彼らが直接アーティストと対峙するほうが、彼らにとって勉強になる。僕もそうだったけど、本物のプロフェッショナルの働きぶりを生で見ると、一生忘れないんですよ。この人のパワーの源はどこからくるんだろうって。

塩野:でも放置して育てるのは勇気がいりますよね。コーチングじゃなくて「放置ング」。

須藤:僕自身、完全に任せてもらえなかった時期がとても長く続いたので、割と信頼して任せますよ。まさに「放置ング」。それでもし何かあったら、それに対応するのが僕の役割だと思ってます。アーティストと会うときも、僕の部下として会うのではなく、その場の責任者として会うほうが、そこで得るところは大きいと思うし。

塩野:そのほうが、ちゃんとやるようになると。

須藤:けっこう顔つき変わりますよ。だからわざとキラキラな輝きを持っている人のところに行かせたりしますけどね。

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