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自分の本の内容を実戦してみた
塩野:山本先生は今まで学術論文をたくさん書かれていますが、『キーパーソン・マーケティング』(東洋経済新報社)は一般のビジネスパーソン向けの本ですね。本のタイトルにもある「キーパーソン」とは、どういう人だと定義しているのですか。
山本:一般消費者の消費行動に影響を与える、特別な消費者っていますよね。オピニオンリーダーとか、イノベーターとか、インフルエンサーとか、ハブとか、いろんな概念がありますが、キーパーソンはそれらを全部まとめた上位概念です。
塩野:今までも口コミ力を持つ消費者に的を絞ってマーケティングをするやり方はありましたけれど、ソーシャルメディアがこれだけはやると、そういう特別な消費者がさらに強い影響力を持つようになっているのでしょうか。
山本:そうですね。インターネットは低コストで同時にたくさんの人に自分の意見を伝えることができるので、キーパーソンがさらに影響力を発揮しやすくなっていますね。
この本を売るに当たって、『キーパーソン・マーケティング』のキーパーソン・マーケティングをしたんですよ。つまり本に書いてあることをいくつか実践したんですね。業界のキーパーソンに原稿を読んでいただいて、そのコメントを最終原稿に反映させるということをしたのです。
あとはツイッターやフェイスブックでフォロワーの多い人や、さまざまなセミナーに登壇している人たちにも、この本を配って読んでもらいました。そして彼らがこの本についてSNSなどで発信したデータと、アマゾンの日別の売り上げランキングデータを合わせて分析してみたところ、やっぱり影響力のある人が発言してくれるとアマゾンのランキングがすごく上がることがわかった。
極端にフォロワーの多い人や業界でインフルエンサーと認識されている人に製品を無料で配布することで、多くの人を購買に至らせる手法をプロダクト・シーディングといいますが、本当にわかりやすく売れました。
塩野:じゃあ読者はこの本を読んで実践すればいい、ということですね。
山本:はい、やっていただけたらと思います。私も書きっ放しではなく実践してみたら、ちゃんと効果がありました。
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