最強のインフルエンサーから共感を得る方法 企業価値を上げる映像コンテンツ3つのポイント(中)

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 デジタルの進化により、企業やブランドが写真、映像など様々なコンテンツを簡単に世に送り出すことができるようになった。さらにソーシャル・メディアにより、そのコンテンツは瞬く間にマーケットに広がることが可能になった。
 が、一方で、消費者が主導権握ることとなり、企業はブランドをコントロールすることが難しくなった。ブランデットコンテンツという概念が生まれたのはそういった背景だ。そしてその重要性がますます増している。その中でも映像コンテンツはここ数年さらに進化したと言えるだろう。世界規模で数千万回ものYouTube再生回数を記録するような「大ヒット映像」の存在が目立つようになり、企業やブランドは真剣にブランディング視点で取り組み始めている。単に人々の間で話題となるだけではなく、企業価値を引き上げるブランデッドコンテンツが求められている。
 ブランデッドコンテンツと単なるコンテンツとは何が違うのか。企業、ブランドは何を指針としながらブランデッドコンテンツを制作していけばいいのか。そしてさらには、企業価値を上げる映像コンテンツとはどういうものなのか。
 この連載では、企業価値を上げることに成功している海外の映像コンテンツを
① ブランドのもつ価値をストーリーの中で表現する
② 最強のインフルエンサーから共感を得る
③ ビッグデータの映像化
という3つのポイントから読み解いてみたい。
 


※ 前回の記事はこちら:大ヒット作に学ぶ、「映像コンテンツ」戦略

 企業価値を上げる映像コンテンツとして、前回はブランディングという側面から説明した。今回はブランディング・ツールとしてのショートフィルムを効果的に拡散、活用して注目を集めている事例を解説していきたい。

ブランデッドコンテンツは、ユーザーがブランドのサービス、商品を通して感じる魅力を再認識してもらう、あるいは、そのブランドのサービスや商品を体験したことのない人に、ヴァーチャルに体験してもらうチャンスを与えることができる。よって、より多くの人々、知ってもらいたい人々にメッセージを届け、共感、共有、拡散を促すことにより、企業価値を高めるチャンスを得ることが可能となる。では、誰に、そしてどのように拡散を広げていけばよいのであろうか。

ソーシャルメディアの出現により、プラットフォームは無限の広がりを見せている。今や、ソーシャルメディアは人々の生活の一部で、テレビや新聞と肩を並べる、あるいはそれ以上に影響力を持つメディアとなっている。よって、自然とソーシャルメディアに議論が集中しがちだ。が、今回のコラムではその議論を控え、初心に帰りトラディショナルメディア(新聞、テレビといった既存メディア)とアンバサダー(大使)としての社員にスポットを当ててみたい。

インフルエンサーとしてのトラディショナルメディア

以前は、新聞やテレビに取り上げられるのは、そのトレンドがピークを超えて落ち着きを見せているときだ、と言われていた。が、ソーシャルメディアの登場は、トラディショナルメディアの報道活動にも大きく影響を与えてきた。より視聴者、読者に近づき、インタラクティブな取材、報道活動に変化している。事件の説明に一般投稿者からの写真を積極的に取り上げるようになっていることからも、変化を見ることができる。

今回は、インターネット上からトラディショナルメディアまで、効果的に拡散された海外事例を見ながら、どのようなコンテンツ、テーマがインフルエンサーとしてのトラディショナルメディアの共感を得ることができるのかをみてみよう。

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