資生堂リケジョの「女前リーダーシップ」 熱すぎないフォロワーシップで攻めよ

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 「女前(オンナマエ)」が日本を変える──。この特集では、男も女も支持して、本人も充足しているキャリア女性を「女前」と定義。そんな女性を5日連続で紹介しながら、「女前」の条件を考察していく。2日目は、資生堂の川上登美子さんに、大ヒット商品を生み出した情熱と仕事の進め方をうかがう。
※1日目の「女前」、宝島社の箕浦ちさ子さんはこちら

 

「化粧落としが面倒」、女性の実感がヒット商品を生む

資生堂 国際事業部アジアパシフィック営業部の川上登美子さん
 
1980年、東京都生まれ。2003年、東京大学農学部卒業。2005年、同大学大学院修士課程修了後、資生堂に研究職で入社。紫外線カット効果を付与した日中用乳液や美容液などの機能性商品の開発に携わる。2010年、マーケティング部門へ異動。その直後、社内のアイデアコンテストで提案した「フルメーク ウォッシャブル ベース」の企画が通り、開発に着手。2013年から現職。

 

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「フルメーク ウォッシャブル ベース」

資生堂の川上登美子さんは、東京大学農学部大学院を修了したリケジョ。昨年、同社の大ヒット商品を生み出した。お湯だけで化粧を落とせる化粧下地「フルメーク ウォッシャブル ベース」だ。年間数十万個でヒットといわれる化粧下地の市場で、2013年2月の店頭販売から2カ月で200万個の出荷数を記録した。

といっても普段、化粧をしない男性には、何がそんなに画期的なのか、わからないだろう。

夜、化粧を落とす。これがどうしようもなく面倒なときが女性にはある。1日働いてクタクタになった日。お酒を飲んで帰った日。落とさないまま寝たら肌に悪いという葛藤と戦い、重い腰を上げて洗面所に行き、クリームを塗ったり、オイルでふき取ったり、濃いアイメークには専用のリムーバーを使ったり……。

こうしたクレンジングの煩わしさは、化粧をする女性なら誰しも感じているはずだ。川上さんもそのひとりだった。

「家に帰ると急にスイッチが切れてしまう。このままシャワーを浴びてお湯で一緒に化粧を洗い流せたら、どんなにラクだろう」

この下地は、40度でやわらかくなるセンサー分子が入っているのが特長だ。お湯で洗うと、その上に重ねた化粧が浮き上がって落ちる。体温に近い37度以下では化粧崩れしやすいが、かといって42度では熱すぎてしっかり洗えない。

ぬるすぎず、飛びのくほど熱すぎない。それでいて結果をきっちり出す絶妙なバランスの温度は、川上さんの「女前」な情熱と似ている。

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