首相も視察した資生堂の企業内保育所とは? 10年先を行く、資生堂の育児支援制度
5月中旬のテレビに珍しい映像が流れていた。安倍晋三首相が5月16日に保育所を訪問し、ほほ笑みながら園児たちに語りかけている図である。安倍首相がいる場所は、資生堂の企業内保育所カンガルームだ。
安倍首相は成長戦略の柱として女性の活躍を推進する方針を打ち出しており、育児休業を3歳まで伸ばし、5年間で待機児童ゼロを目指す方針を決め、産業界に協力を要請している。ちなみに現在の育児休業制度では最長で1歳半まで休業前賃金の50%がもらえる。
待機児童は、働く意志を持ちながら出産した女性の就労を妨げている大きな問題。保育所入所申請をしても、希望する保育所が満員であるなどの理由で入所できない児童を指している。
厚労省の平成23年雇用動向調査の概況によれば、女性一般労働者の結婚、出産・育児の理由による離職率は25~29歳で4.5%、30~34歳で3.2%に達している。もし安倍首相の方針が実現し、育休3年と待機児童ゼロが実現すれば、離職は減り女性が活躍しやすくなるはずだ。しかし実現へのハードルは高い。
ところがこのハードルを軽々と超えている企業がある。資生堂だ。育休3年を実施したのは1990年のことだ。自前の保育所カンガルームの開設は2003年のこと。安倍首相が視察に訪れたのは、女性の活躍を推進する先進企業の施策で成果を確認し、今後の政策の参考にするためだろう。編集部も興味を持った。そこで港区東新橋の汐留タワーにある資生堂汐留オフィスを訪ね、ダイバーシティ推進グループの久保光司リーダーに資生堂の女性活用施策を聞いた。
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