首相も視察した資生堂の企業内保育所とは? 10年先を行く、資生堂の育児支援制度
――3次にわたって策定した行動計画の中身を教えてください。
さらに両立支援制度を強化、新設した。「育児時間」は1991年の制定時には小学校入学までとしていたが、2008年に小学校3年生までに延長した。2005年に小学校入学前の子どもの病気・ケガによる「子ども介護休暇」を有給で年間5日取れるようにしたが、2008年に半日単位で取得できるように改訂した。
また育児・介護期の社員本人と配偶者の異動にも配慮した。転居を伴う異動の対象から育児時間・介護時間取得中の社員を外したり、3年生以下の子どもがいる社員の配偶者に転勤が生じた場合、配偶者の勤務地への異動を希望できるようにした。
海外赴任も考慮した。配偶者が海外転勤になった場合に同行できるように3年以内の休業を認めた。このほかにも多くの制度がある。
結婚、出産・育児の理由による女性の離職率は0.6%
――両立支援施策は成果を上げているでしょうか?
ダイバーシティ施策では立派な制度と到達目標を掲げることが多いと思うが、資生堂の女性活躍支援の根本にあるのは、そのような数字ありき、制度ありきというものではない。あくまでも女性社員の選択肢の幅を広げるものだ。しかし成果は出ている。制度を利用し、仕事と育児を両立する社員が増えている。
まず直近の2012年の数字だが、育児休業を取得した社員数は1375人、うち12人は男性だ。育児時間を取得している社員はもっと多く、1720人いる。うち5人が男性だ。
介護制度を利用する社員は育児に比べ少ないが、それでも介護休業を27人、介護時間を14人が利用している。
「育休3年」が話題になっているので、気になるのは育児休業の日数だろう。平均の取得日数は452.8日であり、全体の75%が1年半以内に職場復帰している。3年を取得する社員もいるが、1割以下だ。これらの施策の成果だが、結婚、出産・育児の理由による女性の離職率が0.6%と限りなくゼロに近づいている。
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