女性の「解雇規制緩和」のススメ 「育休3年」に異議あり!

✎ 1〜 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

格差を拡大する「育休3年」法制化

女性活用や少子化対策が話題になって久しい。しかし、「具体的に何すればいいの?」かについての魅力的な提案は少ない。安倍首相がドヤ顔で提案した「育休3年」も、各方面からのツッコミを受けて早々に撤回した。私も「それってムダ!というか逆効果!」と考えているひとりである。

「育休3年」法制化とは、事実上「公務員および大企業に限定した育休3年」法制化となり、その恩恵を受けられるのは女性労働者の10~20%であろう(図1)。会社経営に余力がなく現時点においても産育休のビミョーな中小企業や下請け企業(20~30%程度?)では、妊娠した女性従業員に対して今以上にロコツで巧妙な退職誘導が行われると予想できる。そして今や働く女性の過半数(50~70%)となった非正規雇用女性にとって、「育休3年」法制化の恩恵はまったくない。というかむしろ、公務員や大企業正社員女性の産育休時短のシワ寄せを食うリスクが大きい。

大企業と中小企業の間はまだしも、正規雇用と非正規雇用の間には分厚いカベが存在し、現在のところ非正規→正規への移動は困難である。そして、正規/非正規を決めるのは「学歴」「成績」「TOEIC」ならばまだしも、「新卒就職時の景気」「(とりわけ女子就職においては)親のコネ」など本人の努力範囲外の要素が大きい。よって、10~20%の女性正社員をショーウインドー的に保護し、そのシワ寄せを80~90%の零細企業社員や非正規雇用者に押し付けることになる制度は、日本全体としては少子化を加速する方向に働くと私は考えている。

次ページ授かった子どもを泣く泣く中絶…ということも
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事