日本型組織の女性管理職がイケてない訳 なぜ女性は「お局」化するのか?

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ノマドドクターという言葉をご存じだろうか。今まで医局や勤務先の病院に縛られて生きてきた、「医者」という職業。いまやノマド化しているのだ。彼らは依頼一本で全国どこへでもはせ参じ、華麗に手術をこなす新しい医者のカタチだ。
そんな様子は昨年、米倉涼子さん主演の「ドクターX」で描かれた。本連載ではドクターXの制作協力にも携わった「リアルドクターX」こと筒井冨美氏が医療の表から裏まで、自由自在につづる

症例1:「天はK大醫學部の上に人を作らず」

私がA医大でヒラ医師だった時代のことである。A医大では週1回のアルバイトが公認されており、当時のA医大B教授が急用のため、代わりにC病院に派遣された。初めて派遣されたC病院だったが、私は長時間の重症手術を割り当てられて、2人いた常勤医のほうが軽症例を担当していた。

C病院の女性部長Dは、短時間手術を終えた後はパソコンに向かいっぱなしで、さりげなくチラ見したかぎりでは「ママ友との雑談メール」「ネットショッピング」など、病院の仕事には関係なさそうな内容であった。1日の仕事を終えた私は「給料振り込みの書類をまだ書いていませんが……」と言うと、D部長は「その必要はありません。給料はB教授に振り込まれます」と言った。事態が理解できず、「??」な私に向かって、さらに彼女は「K大はそうなんです!」と断言した。

私のバイト代(約8万円相当)は、そっくりそのままB教授に振り込まれ、要するに私はカツアゲ(ドロボーとも言うが)されたのだ。そういえばB教授とD部長はK医局の先輩後輩である。私は「それってあきらかに違法行為ですよね!」と言おうとしたが、当時の私は博士号の審査が控えており、「ここで教授の不興を買うと、審査に影響するかも?」とも考え、反論をのみ込んだ(だからこそ、カツアゲのターゲットにされたのだろう)。

また、彼女の手際よさからして、C病院を舞台にしたカツアゲ被害者はほかにも多数存在することが推定された。ネットで検索したかぎりでは、D部長はImpact Factorのがついたマトモな研究論は文ゼロ、麻酔の腕も「可もなく不可もなく」といったレベル、「あのオバチャンはK卒以外の取り柄が何もないから、ああやって吠えているのだ」と自分に言い聞かせ、この事件は忘れることにした。

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