女性の「解雇規制緩和」のススメ 「育休3年」に異議あり!

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というわけで、育児休業法の拡大はA家にはそれなりの恩恵があるが、B・C・D家には少子化の方向に作用することが予想される。要するに、この法律は「トクする女の数<ソンする女の数」なのである。法律が正社員女性保護を強制すればするほど、正社員になれる女性は減っていく。

「櫻の木の下には屍体が埋まっている」と書いた作家がいたが、まさに「キラキラ時短正社員の下には、非正規女子の水子が埋まっている」のである。育児休業法を導入したにもかかわらず、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数が2012年に135か国中、98→101位と後退したのも、ここらへんにも一因があると考えられる。そして、有効な少子化対策とは「少なくとも過半数の日本人女性に恩恵がある」制度のはずである。

「育児休業法」廃止および「妊婦の解雇規制緩和」を

育児休業法について考えるとき、私が不毛だと思うのは「正社員・年功序列・終身雇用(=日本型雇用)を基本にした人生設計」という「もはや男性にとってもオワコンとなりつつあるシステム」に、無理やり女性をはめ込もうとしている点である。

女性を日本型雇用にはめ込むにあたって、最もムリがあるのは「妊娠~子育て女性正社員労働者の、公定価格と実勢価格が違いすぎる」ことである。タテマエ上は「同期入社の正社員同士ならば、妊娠しても給料は同じ」だが、妊娠した女性は程度の差はあれども仕事のパフォーマンスは低下する。「育児を理由にした残業免除」も同様である。

「実勢価格から乖離した公定価格は、かならずブラックマーケットを産む」という経済原則は、労働市場においても作用している。人気企業が女性正社員採用を極力、絞るのは公然の秘密だし、医大入試でも「面接や小論文で男性にゲタをはかす」うわさは、国立大を含めてよく耳にする。「法律違反にならない範囲で正社員妊婦を自主退職に誘導する」人事コンサルタントも盛業だったりする。

ある銀行では、育児時短正社員が増えすぎて「時短正社員は、片道110分ぐらいのビミョーに遠い支店に配属し、消耗して退職するのを待つ」作戦らしいし、対する時短女子社員も「辞めたら二度と正社員に戻れない」としがみつき、遠距離通勤に励むそうだ。しかし、「辞めたら二度と戻れない」と言うあたり、この時短正社員の給与は実勢価格を反映していないとも言える。こういう不毛な闘いをダラダラ続けるぐらいなら、労働市場を思い切って流動化させて、時給が実勢価格まで下がっても片道30分の支店で8時間働けるシステムを作るほうが、社会全体の生産性は向上すると思う。

というわけで、

私は女性活用や少子化対策として「育児休業法」廃止および「妊婦の解雇規制緩和」を提案したい。

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