社内にはネガティブな意見もあった
まず、社内の反応。会社の期待を背負ったプロジェクトではあったが、社内にはネガティブな意見もあった。
クレンジングのステップを丸ごと省くことは、ある意味、資生堂がこれまで培い、提唱してきたスキンケアのステップを否定することにもなりかねない。営業部の中には難色を示す者もいたし、クレンジングを開発している部署からは、「本当にそのステップをなくしていいのか」といった意見が聞こえてきた。
プロジェクトメンバーも、最初から一枚岩だったわけではない。川上さんがマーケティング部門のメンバーに商品の説明をすると、「そもそもそんなニーズがあるのか」という声が挙がった。研究所の研究員はシーンと静まり返った。「本当にそんな商品が技術的にできるのか」という疑問からだ。
しかし、川上さんはへこたれなかった。
「お客様を呼んで、洗顔について生の声を聞く場をセッティングし、その場にプロジェクトメンバーを同席させて、一緒にお客様の意見をヒアリングしました。生の声を肌身で感じてもらうのがいちばんだと思ったから」
お客様に、普段しているとおりに洗顔してもらい、話を聞くと、「クレンジングで落とさないで、お風呂で顔を洗っているだけ」「24時間、化粧をしています」など、メーカー側が想定しなかった意見もたくさんあった。「枕が汚れませんか?と尋ねると、『気にしません』と(笑)」。
メンバーたちは、そんなお客様の生の声を聞いてニーズを確認し、商品を作る意欲が高まった。
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