女前グローバルエリート、家政婦2人フル活用 仕事・家事・育児を全部ひとりでやるのは無理!

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 「女前(オンナマエ)」が日本を変える──。この特集では、男も女も支持して、本人も充足しているキャリア女性を「女前」と定義。そんな女性を5日連続で紹介しながら、「女前」の条件を考察していく。5日目は、昨年9月にOECD東京センター長に就任した村上由美子さんに、外資系投資銀行で学んだコミュニケーション法や、仕事と家事・育児の両立についてうかがう。
※1日目の「女前」、宝島社の箕浦ちさ子さんはこちら
※2日目の「女前」、資生堂の川上登美子さんはこちら
※3日目の「女前」、テレビ朝日の松尾由美子さんはこちら
※4日目の「女前」、ワクワーク・イングリッシュの山田貴子さんはこちら

 

どんな状況でも争わないで、まとめ上げる

村上由美子さん OECD東京センター長
 
1965年生まれ。87年、上智大学外国語学部卒業。89年、スタンフォード大学大学院で国際関係学修士課程を修了後、国際連合に就職。89年から91年までバルバドスで国連開発援助プログラムを担当。91年、ニューヨークの国連事務局で、リモート・センシングの平和的利用推進に従事。91年から92年まで国連カンボジア暫定統治機構で人権擁護オフィサーを務めて、退職。94年、ハーバード大学大学院で経営学修士過程を修了。同年、ゴールドマン・サックス証券に入社。ロンドンでバイスプレジデント、ニューヨークと東京でマネージングディレクターを務める。2009年、クレディ スイス証券に転じ、マネージングディレクターに。2013年9月から現職。

 

経済協力開発機構(OECD)の東京センター長に昨年9月、就任した村上由美子さんは、「女前」なグローバルエリートだ。

そのポストはこれまで外務省出身者が座るのが慣例だったが、OECD本部は能力重視で採用するために広く公募を実施。それに合格したのが、外資系投資銀行で働いていた村上さんである。

つややかな髪がナチュラルにウェーブ。女性の余裕は、手入れの行き届いた髪に表れる。だが、そのエレガントな雰囲気は、話し出すと一変。早口でサービス精神旺盛。自分の母親の話題に及ぶと、一代記を一息に語った。

「私は5人兄弟のいちばん上の長女で、母は島根でずっと主婦をしていたんですけど、子育てが終わった後、今の私と同じぐらいの48歳頃にゼロから起業しまして、ウェルネスというドラッグチェーンを20年で年商120億のビジネスにしたんですよ。山陰地方でいちばん大きいドラッグチェーンなんですけどね。まあ、田舎のオバチャンとしてはかなりスゴいんです」

この豪快な母親が事業を拡大していくのとほぼ同時期に、村上さん自身もキャリアをスタートさせた。母親の姿を見ていたので、女性が仕事を思い切りすることに対して何ら抵抗感がないという。

OECD東京センター長になって、パリの本部から2つの課題を渡された。

2014年は日本がOECDに加盟してちょうど50年。その記念イベントが数多くあり、4月にはOECDの事務総長が来日。5月にはパリで安倍晋三首相が出席する大きな会合もある。それらを成功させるのがまずひとつ。

2つ目は、アジアで唯一のOECDの拠点として、中長期的にインドネシア、マレーシア、タイなどアジア各国と連携し、活動を拡張していくこと。

ピリピリしたり、声を荒げたりすることがない

この5カ月間、村上さんの間近で働いてきた同センターの報道官、川口尚子さんは、村上さんのスゴさを「争わないこと。まとめ上げる力」と語る。

「利害関係の異なるほかの組織と、どうしてもぶつかるものですが、争うよりも前に、どうやって解決していくかという方向にいく。たとえ相手側がヘマをして、こちらになすりつけるような状況でも争わない。みんなが心地いいように進め、しかも成果を上げる。まとめ上げる力がハンパないのは、やっぱり5人兄弟のいちばん上のお姉さんだからかもしれません」

同センターのマーケティングマネジャー、樋口厚志さんは、「いつも前向き。ナゾの影響力がある」と話す。

「あのポジションはストレスも多いと思うのですが、ピリピリしたり、声を荒げたりすることがない。彼女の言動で周囲の人間がストレスを受ける状況を見たことがありません。場の雰囲気がよどんでいるときには、いい意味で空気を読まず、自ら空気を壊して支配し、楽しくしてしまう。私が抱えている仕事で何か懸念事項があっても、村上さんと話しているうちに大丈夫に思えてくる。独特の説得力がありますね」

戦わずして勝つのは、戦力を温存する最上の戦い方。男性ホルモンが過剰な人には難しい芸当だ。まさしく「女前」である。

だが、キャリアの最初から順調だったわけではない。

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