人の話を素直に聞くから、周りが応援したくなる
川上さんがプロジェクトを推進するにあたり心掛けたのは、リーダーシップではなく、フォロワーシップの仕方だという。
「まず自分の先輩や上司が納得しなければ、その先に波及していくことは絶対にないので、自分に近いコアメンバーにいかに納得してもらうかを考えました」
いきなり上からゴリ押しするのではなく、下から無理なく落とす。まるで「フルメーク ウォッシャブル ベース」のような技だ。
次に、技術的な問題。今までにないものを作ろうとすると、どんな技術が必要で、誰が何を得意なのかもわからない。いろいろな分野の得意な人を探していくところから始め、アドバイスをもらった。
マーケティング部門に異動して最初の上司となった藤沢冬子さんは、人の話を素直に聞けるところが、川上さんを応援したくなる最大のポイントだと語る。
「固定概念がなく、発想がボーダレス。人から言われたことを自分で咀嚼して学び取る吸収力と、アウトプットする力がある」
一方、攻めの部分も目撃したことがあるという。
「研究員が『そこはちょっと難しいかも』と躊躇したときに、彼女は『あれを使えばできるんじゃない?』と侃々諤々やっていた。彼女の攻めと研究者として積み重ねてきた自信を感じ、信頼と期待がさらに高まった」
始終、人の話を聞いているだけなのではなく、攻めるときは攻める。その強さがなければ、やはりリーダーは務まらない。
強い意志が周りの人の心にドライブをかける
プロジェクトを一緒に率いたマーケティング部門の長野種雅さんは、川上さんの負けず嫌いなところを絶賛する。
「われわれメーカーは、お客様に買いたいと思っていただく気持ちに勝負を挑んでいるわけで、社内程度の圧力に負けるぐらいだったら、世に出しても勝てない。彼女は自分の強い意志を持って取り組んでいた。その気持ちが周りの人たちの心にドライブをかけて動かしていった。社内に『なんかあの商品、スゴいぞ』『頑張ってやっていこうぜ』という空気を醸成し、盛り上げていきました」
こうして社内のさまざまな人を巻き込み、サポートを受ける力が「女前」だ。開発の試行錯誤を繰り返し、暑い日や汗をかいても化粧が崩れないか、川上さんはメンバーとともに実験台となった。
「夏場に汗だくになっても崩れません。汗って肌の表面に出ると30度ぐらいに冷えるんです。サウナにも何度も入って、メンバーとお互いに化粧が崩れていないか確認して、大丈夫と(笑)」
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