最強のインフルエンサーから共感を得る方法

企業価値を上げる映像コンテンツ3つのポイント(中)

世界でたった4%、という社会性のあるテーマ

さて、こちらの映像についてはすでによくご存じの方も多いことだろう。2013年4月にDoveが公開し、現在、以下のYouTubeの映像単体で約6200万プレビューという驚異的数字を記録したキャンペーン映像『Dove Real Beauty Sketches』だ。ここでは、ソーシャルメディアの拡散にとどまらず、トラディショナルメディアにまで広がった理由に、再度、注目しながらご覧いただきたい。

 

(日本語字幕付き)

動画は、「Dove」が女性に対して行った、ある実験の様子を写したもの。Forensic Artist(「法医学の画家」=目撃者の証言から犯人の顔を描いたり、犯罪発生時の様子をスケッチするなど、警察捜査において活動する画家)のジル・ザモーラ氏と、被験者の女性たちが登場する。

ジル・ザモーラ氏は、FBIにてトレーニングを受けたキャリア28年の犯罪科学スケッチアーティストだ。このショートフィルムでは、カーテン越しに顔の特徴を聞きながら、7人の女性のスケッチを行った。ザモーラ氏はこの7人の女性とは一度も顔を合わせていない。

まずは、7人の女性それぞれから、自分の顔についての説明を受けた。そして、このセッションの前に同じ部屋で少しの間顔を合わせた別の男女に、女性の顔について特徴を聞いていく。彼ら、彼女らは、そのときは何も説明されずに、ただ部屋で少しの間一緒にいるように伝えられていたという。

ザモーラ氏がそれぞれの描写を基にスケッチを起こしていく。すると、どうだろう。他人の視点から描写されたスケッチのほうが、より美しく、楽しそうで、より正確な肖像に仕上がっていたのだ。

「あなたはどんな顔をしていますか」。そんな質問をされた場合、あなたならどう答えるだろう。映像にもみられるように、多くの場合、女性は自分自身を描写するとき、容赦ない批評家へと変身し、他人の印象とは大きく違った表現をするのだろう。Doveが独自に行った調査によると、世界で「自分を美しい」と思っている女性はなんと4%。単に一女性に起きていることではない。この事実を社会的なテーマとして取り上げ、説得的な表現ではなく、人々をインスパイアする映像で表現している。

Unrulyが発表したViral Video Chartによると、本キャンペーン映像は公開から1カ月も経たずに、インターネット上で史上最も閲覧された広告映像になった。インターネット上での合計視聴数は、なんとその時点で1億1400万プレビューを記録。なお、中国では公開直後で1500万プレビューを記録したということだ。

Dove Skinの副社長であるフェルナンド・マチャド氏は、本キャンペーンについて次のように語っている。「『Dove Real Beauty Sketches』がDoveのYouTubeチャンネルにアップロードされたその瞬間から手応えがありました。世界中の女性、男性、メディア、そしてさらには他のブランドや企業までもが映像をシェアしていたのです。このキャンペーンは、何百万もの人々の感情を揺り動かしました。そして、この映像が持つポジティブなメッセージを、さらにほかの人々に伝えるように、オーディエンスをインスパイアすることに成功したのです」。

プレスリリース:Dove Real Beauty Sketches Most Viewed Online Ad

公開当時、過去1年内で最もシェアされたビデオとなり、さらには史上で3番目にシェアされた映像へと駆け上がった。この映像は25カ国語に訳され、33もの世界中のDoveのYouTubeチャンネルにアップロードされ、110カ国以上で視聴されたという。

次ページ最強のコンテンツは社員
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 買わない生活
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 意外と知らない「暮らしの水」ウソ?ホント?
  • 財新
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
SDGsが迫る企業変革<br>ビジネスと人権

サプライチェーンの中で起きる人権侵害への意識が高まっています。欧米では法制化が着実に進展し、企業に対し人権リスクの把握と対策を求める動きが顕著に。欧米に比べて出遅れている日本企業の現状を多角的に検証します。

東洋経済education×ICT