塩野:この本にも出てきた話ですが、どこかの企業で「これからはソーシャルメディアだ」ということになって、若い担当者が上司から、「コストをかけずにうちの製品をはやらせろ」という無茶ぶりをされてしまったら、担当者は最初のアクションとして、まず何をしたらいいでしょうか?
山本:まずその商品の差別化ポイントというか、口コミの話題になりやすいのはどこなのかを、自分で見つけるべきですね。
塩野:なるほど。その商品自体のエッジの部分ですか。
山本:この属性について広めてもらいたい、この特徴を言ってもらいたいというところがどこなのかを自分たちで探して教えてあげないと、一般消費者はもっと知識がないし、もっとどうでもいいので。
塩野:じゃあ東洋経済オンラインが、もうちょっとPV(ページビュー)を上げたいというときは、どうしたらいいですか。
山本:どんなネタが広まりやすいかということを本に書きましたが、たとえば論争になるような対立構造は、PVを集められると思います。
キーパーソンの捕まえ方は?
塩野:キーパーソンを見つけるにはどうしたらいいですか。
山本:ネット上のキーパーソンが誰かは、ウェブ上の行動履歴データからある程度わかります。たとえばツイッターのフォロワーが多いかどうか、フェイスブック上のファンが何人いるかといった情報からもわかりますね。
塩野:商品を売るだけでなく、口コミから新しい商品のヒントを得るにはどうしたらいいですか? よく商品開発においては、ユーザーや顧客の半歩だけ先を行くのがベストで、1歩も2歩も先を行ってはいけないと言いますよね。とがりすぎた製品を出しても売れずに「あれは早かったね」となるし、逆にあまりサプライズのないものを出しても、「これ、○○とどう違うの」ということになる。企業で新製品開発をしている人の中には、「顧客がまだ知らないものを提供するんだから、何がほしいかを顧客に聞いてもしょうがない」という人もいます。プチ・ジョブズみたいですが。
山本:そういうときは、半歩先のニーズを持っている消費者に聞くといいですよ。リードユーザーといって、ニーズが半歩先を行っている人たちがいるのです。
だから商品開発プロジェクトでは、すべてのユーザーの意見を聞くよりも、リードユーザーだけを集めるとか、あるいはブランドロイヤルティが異常に高い人だけを集めるなどしていくと、実りある結果になると思います。消費者よりも企業のほうが知識が多いのは当然なので、平均的な人ばかりたくさん連れてきても、ろくな結果にならないと思いますね。
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