江東区「待機児童14人」でも認可入れない裏事情 国が推進する「待機児童数」重視政策の弊害

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待機児童としてカウントされない項目を個別に見ると、認証保育所などの地方単独事業が大きな受け皿になっていることがわかります。また、「特定の保育園等のみを希望している者」としてカウントされなかった児童数が半数以上を占めている点は特徴的です。

この「特定の保育園等のみ希望している者」の定義は、国が定める「保育所等利用待機児童数調査要領」に準拠しています。

要領では、待機児童としてカウントしなくてもいいケースとして、「他に利用可能な保育所等の情報の提供を行ったにも関わらず、特定の保育所等を希望し、待機している場合」と示しています。

また、利用可能な保育所等の要件として「立地条件が登園するのに無理がない。(例えば、通常の交通手段により、 自宅から20~30分未満で登園が可能など)」などと例示し、認可外保育施設も含むとしています。

この要領に沿って、江東区では「一つの園しか入園希望を出していない」もしくは「自転車で20-30分で登園可能な範囲(半径3キロメートル)に空きのある園があるにもかかわらず入園希望を出していない」者を「特定の保育園等のみを希望している者」と定義しています。

ただ、自転車で20分以上かけて毎日通園することが難しい家庭も多く存在すると考えられ、また、施設の卒園年齢(3歳までの園)、園庭の有無、保育の質などがに懸念があって他の施設の希望を出さなかった可能性もあり、定義の妥当性には検討の余地があります。

人口規模の大きな自治体が国の定義を使って待機児童数を極端に圧縮している例はほかにも見られ、私は国が「待機児童数」という実数で自治体の待機児童対策を評価していることの悪影響ではないかと考えています。

保育園を考える親の会の調査で江東区の入園決定率が8割以上であることは確かなので、23区の中では保育園に入りやすいほうの自治体と評価できますが、広い区なので地域による差も大きいと思われ、注意が必要です。

江東区の入園選考の特色

そもそも認可保育園等への入園申し込みは市区町村別に行われ、定員を上回る園・クラスについては市区町村が選考(利用調整)を行います。選考は保護者の就労状況やその他家庭の状況を点数化し、保育の必要性が高いと判断された児童から優先的に入園が決定します。

点数化の方法は自治体によって異なります。江東区の選考方法には、どのような特徴があるのでしょうか。保護者が就労している世帯では勤務時間が長い世帯が有利であることや、ひとり親世帯、認可外利用世帯、上の子がすでに在園している世帯などに調整指数が加点される点は、江東区もほかの自治体と同様です。

「居宅内労働」よりも「居宅外労働」の基準指数を高くしている市区町村もありますが、江東区は差をつけていないので、自宅で仕事をしている人は助かるでしょう。

保護者や子どもの障害や病気についての調整指数もあり、困難をかかえる家庭への配慮がされているのも特徴です。

江東区では、認可の保育施設の毎年4月入園について、「保育園入所指数ボーダー表」を公開しています。各保育園の各クラスで何点までの人が入れたかがわかり、保育園入園希望者にとっては非常に重要な情報になります。

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