2020年4月の結果を見ると、0・1・2歳児の場合、多くの地域で両親がフルタイムで働いていなければ入園が厳しいことがわかります。その一方で、亀戸や有明などの若干の地域では、希望が募集数に届かなかった園もありました。
また、江東区では毎月の空き情報も公開していますが、3歳以上児は11月時点でもかなり多くの園に空きが発生しています。
国は認可保育園の園庭の広さについて、「2歳以上児1人につき3.3平方メートルの屋外遊技場が必要」としていますが、近くの公園等での代替も認めています。保育園を考える親の会では、認可保育園のうち基準を満たす広さの園庭を保有する園が何%かという「園庭保有率」を独自に調査しています。都市部では、この園庭保有率が年々低下していて、園庭のない認可保育園が急増しています。
江東区の2020年度の「園庭保有率」は52.4%となり、区内の認可保育園の約半数に園庭があるという結果になりました。23区では5位ですが、有効回答98市区中では77位になります。
23区はどこも急激な待機児童対策で、園庭保有率が著しく低下していますが、江東区の再開発地域などは広大な緑地や公園もあり、保育所のために土地を確保する条件に恵まれていると言えます。
実際、2018年度には区立南砂三丁目公園内と都立木場公園内に認可保育園を開設しました。2020年度には有明の大規模マンション開発において公共施設整備協力金減額を条件に土地の提供を受けて認定こども園を整備しています。今後も、子どもたちのために必要とされる保育環境の確保への意欲的な取り組みが期待されます。
旺盛な待機児童対策と質の確保
江東区の保育士配置基準は1歳児を子ども5人に保育士1人とするなど、国基準を上回っています。国基準は、子ども6人に保育士1人です。ただし、東京都内は同様の保育士の上乗せをしている自治体が多いので、都内標準であると言えます。
0歳児の保育室面積基準も、都内の多くの市区と同様、国の基準を上回る基準が確保できています(1人当たり5平方メートル)。
江東区では人口増を受けて、待機児童対策にはさらに力を入れており、2020年度は認可保育園と認定こども園を合わせて19園整備しました。
また、待機児童を対象に、新設園の空きを利用して期間限定で保育する定期利用保育、区が民間事業者に委託して実施する低年齢児対象の保育ルーム、ベビーシッターを派遣する居宅訪問型保育など、さまざまな方法で臨時的な保育の受け皿を用意しています。
このような急激な量的な拡大策は、時には保育の質の低下を招くことがあります。
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