江東区「待機児童14人」でも認可入れない裏事情 国が推進する「待機児童数」重視政策の弊害

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人口増加によって保育園の入園事情が悪化していた江東区ですが、ここ数年で「入園決定率」はかなり改善しています。2020年4月1日入園での「入園決定率」は、東京23区中で3位、有効回答89市区中で21位の83.5%になっています(2020年4月1日入園での数字)。2016年には62.0%だったので、4年間で20%上昇したことになります。

なぜ待機児童としてカウントされないのか

国が発表している待機児童数では、江東区の待機児童数は14人となっていますが、「認可に申し込んで認可を利用できていない児童数」を計算すると755人に上ります。

この数字の差は、「認可に入れなかった児童」全員が待機児童としてカウントされるわけではないために生じます。「認可に入れなかった児童」から「国が待機児童数にカウントしなくてもよいとしている定義に該当する児童」を引いた数字が「待機児童数」になるのです。

この「国が待機児童数にカウントしなくてもよい」としているケースは6つあります。

①国が補助金を出す認可外保育施設に預けている場合(企業主導型保育事業)
②自治体が補助金を出す認可外保育施設に預けている場合(地方単独事業:東京都の認証保育所など)
③保護者が育児休業を延長していて復職の意思が確認できない場合(育児休業中の者)
④通える範囲に保育施設(認可外も含む)が空いていると判断され、そこを利用していない場合(特定の保育園等のみ希望している者)
⑤再就職希望で求職活動を十分に行っていないと見なされる場合(求職活動を休止している者)
⑥その他:幼稚園の預かり保育、認可に移行するための補助を受けている認可外保育施設、特例保育などを利用している場合

江東区では、待機児童数として報告されている数が「認可に入れなかった児童数」に対して2%と、非常に小さいことがわかります。100市区の平均で8%ですので、待機児童数は少ないものの、実態としては認可に入るのは容易でない可能性があります。

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