保育無償化が「誰得か」よくわからない現実

アンケートから見えた保育行政現場の懸念

幼児教育無償化は、子どものためになるのか。写真は本文と関係ありません(写真:szefei/PIXTA)

2019年10月に全面的に実施される幼児教育無償化。この政策が発表された当初から、政策としての有効性や施策としての優先度について疑問の声がありました。

今、費用の一定割合を基礎自治体(市区町村)に負担させる政府案が示され、再び大きな論議を巻き起こしています。筆者が主宰する「保育園を考える親の会」が、基礎自治体の保育行政担当者に緊急アンケートを実施したところ、想像以上に問題がこんがらがっていることがわかりました。

アンケートの対象は、保育園を考える親の会の「100都市保育力充実度チェック」調査に協力する100市区(首都圏の主要市区と政令市、区は東京23区)。回収は72通でした。

「自治体に負担を求める幼児教育無償化」について、「賛成」「反対」「ほかに優先してほしい施策がある」の3択で聞いたところ、有効回答63のうち賛成はわずかに2票。実に97%が不賛成でした(内訳は、反対41%、ほかに優先してほしい施策56%)。

費用負担を求められることによる保育行政への影響について聞いたところ、なんらかの悪影響があるとした市区は48で、約7割に上りました。

保育行政の現場から抗議

今年7月、全国市長会は「子どもたちのための無償化実現に向けた緊急アピール」を発表しています。そこには、無償化の財源は国の責任において確保すること、認可外保育施設等も対象とすることによる事務負担の増加にも財政措置をすることなど、多岐にわたる国への要望事項が並べられていました。

無償化業務を実施する立場にある基礎自治体として、政府が政策を発表した当初から多くの懸念をもっていたことがわかります。11月15日、市長会は費用負担に反対を表明しました。当会アンケートには、行政現場からも「無償化は全額国費で実施する約束だった。約束を守ってほしい」という抗議が書き込まれています。

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