保育無償化が「誰得か」よくわからない現実 アンケートから見えた保育行政現場の懸念
基礎自治体にも財政にゆとりのあるところ、厳しいところがありますが、それぞれ住民ニーズに応じて優先順位を決めて事業を実施しています。アンケートの自由記述には、政策の実施に懸念を示す声がありました。
消費税が10%になると、その増収分は自治体にも配分されます。国は、その分で自治体も無償化費用を負担できるだろうと言っているのです。しかし、そもそも消費税増税は、財政の立て直しや社会保障の財源とするために実施するものとされてきました。各自治体からすれば、国が勝手に決めた幼児教育無償化に使わされるというのは理不尽なことです。
実際に保育行政を担う人々は懸念を示す
アンケートでは「ほかに優先してほしい施策がある」という回答が過半数になっていました。実はこの無償化、経済学者からも「政策的効果はゼロ」と指摘されたものです。
近年の調査研究からは、貧困層の子どもに質の高い幼児教育を提供することで次世代を健やかに育め、治安や福祉のコストの低減につながることが明らかにされています。しかし、日本は3歳以上児の就園率はすでに高く、低所得世帯への保育所や幼稚園の保育料の減免も行われているため、本来の無償化の政策的効果はないというのです。
アンケートでは、現場の保育行政担当者たちのこんな声が噴出しています。
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