リーマンショック後、5.5%まで悪化した失業率でしたが、景気回復の恩恵を受けて、2014年には3%台半ばにまで改善しています。
この3%台半ばという水準は、金融政策や財政政策でさらに需要を作り出しても、これ以上引き下げることが難しいという状態だそうです。つまり、失業問題はほぼ解消されたことを意味しています。確かに最近、以前よりは失業問題が世間で話題にならなくなってきました。ちなみに、この失業率3%台は先進国の中でもかなり健全といえる数字です。
求職者の言い分、採用側の言い分
失業率がゼロに近づかない背景には、「雇用のミスマッチ」の問題もあります。希望する報酬や内容の仕事につけるまで探し続ける人=求職者が、ある程度は残ってしまうからです。具体的には、
会社「求人」:経験やスキルを備えた人材がみつからない
個人「求職者」:やりたい、稼ぎたい仕事がみつからない
という状況ですが、このように双方の意向がズレたまま、求職活動(企業からすれば採用活動)が行われているケースが多々見受けられます。このズレはどうして起きるのでしょうか? まず、個人サイドを取材してみると、自分の能力・スキルに対する認識の誤りがみえてきます。たとえば、旅行代理店を退職して休職中のGさんは
「海外旅行に特化した会社で商品企画にも携わりたい」
と求職中。しかし、Gさんは英語を含め、外国語が得意ではありません。当然ながら商品企画ができるくらいに詳しい国もありません。やりたい仕事であっても「やれる仕事」でなければ、会社から採用されることはありません。おそらく、Gさんがやりたい仕事を変えないかぎりマッチングは難しいでしょう。続いて、会社サイドに話を聞いてみると、
・やる気のある人材
・海外経験が豊富な人材
といった人材レベルを求める一方、処遇(給与・ボーナス等)面では同業他社と比べて大きく負けている。にもかかわらず「いい人材が取れない」と嘆いている……そんな人事部長に何人も遭遇しました。企業努力をして処遇改善や、処遇に変わる魅力的な職場環境を提示できないかぎり、嘆きは続くことでしょう。
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