しかし、「コロナ・ショック」は日本にとって、必ずしもマイナスばかりではない。むしろ、経済的な側面よりも、日本人の価値観や働き方を大きく変え、日本という国が真に豊かで、幸せな国になるための好機と捉えている――。
『現場力を鍛える』『見える化』など数多くの著作があり、経営コンサルタントとして100社を超える経営に関与してきた遠藤功氏は、「この『コロナ・ショック』は、ビジネス社会における『プロの時代』の幕開けになる」という。
「コロナ・ショック」を見据え6月に集中執筆した『コロナ後に生き残る会社 食える仕事 稼げる働き方』を緊急出版した遠藤氏が、「日本企業の『報酬格差拡大』がもたらす3変化」について解説する。
失業者は増えているが「引き抜き」も増えている
新型コロナウイルスの影響で、雇用情勢は悪化している。コロナ影響による雇い止めは全国で5万人を超え、7月の完全失業率(季節調整済み)は2.9%と前月から0.1ポイント上昇した。経済活動の再開ペースは遅く、雇用の悪化は今後さらに進むと見られている。
その一方で、「プロ人材の引き抜き」も増えている。ファミリーマートはマーケティング全般の最高責任者であるチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)に足立光氏を起用すると発表した。足立氏はローランド・ベルガー時代の私の同僚で、マーケティングのプロである。日本マクドナルドの上席執行役員CMOとして業績を回復させた立役者として知られている。
足立氏に限らず、「高度専門性を持つプロ人材」は引く手あまたである。先日も、ある大手企業の経営幹部から「外部からチーフ・デジタル・オフィサー(CDO)を採用したいが、いい人はいないか」と相談を受けた。CDOの需要は急速に高まっているが、それに見合う人材は明らかに不足している。そうした「高度専門性」と「経験」「実績」を兼ね備えた人材は、引っ張りだこである。
コロナをきっかけに、日本企業を支えてきた「年功序列」の報酬制度や「横並び人事」は崩壊し、「実力主義」「結果主義」に移行することは間違いない。日本企業における「報酬格差の拡大」はどのような変化をもたらすのか。ここでは、そのなかの主な「3つの変化」をみていこう。
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