2つめは「プロとアマ」だけではなく、「『プロの中』での報酬格差が広がる」ことである。
プロになることが「成功」を意味するわけではない
日本のビジネス社会にも「プロ化」の波が押し寄せ始めている。ビジネス社会で勝ち抜こうとするのであれば、「高度専門性を備えたプロ人材」を目指さなければならない。
それでは、「プロになれば安泰」かといえば、けっしてそうとは言えない。むしろ、プロになることは「生き残るための最低限の条件」にすぎない。
現実を見れば、プロとアマの差以上に、「プロの中での差」のほうが大きくなる。
それは、「プロ化」が根付いているプロスポーツの世界を見ればわかる。
例えば、サッカーJリーグの平均年棒は、J1では約3500万円だが、J2・J3では300万~400万程度にすぎない。平均で見ても、10倍の差がある。
J1における日本人最高年俸(2020年)は、酒井高徳選手(ヴィッセル神戸)の「1億4000万円」。J2・J3でプレイする選手の30倍以上だ。もちろん、海外のトップリーグで活躍する選手はさらに高額の報酬を手に入れている。
また、ヴィッセル神戸でプレイするアンドレス・イニエスタ選手の年俸は「32億5000万円」。
これは例外としても、イニエスタ選手の元同僚で、2020年1月に引退したダビド・ビジャ選手の年棒は「3億5000万円」。J2・J3の選手たちのほぼ100倍である。グローバル基準と比較すると、さらに桁違いの差になる。
こうした報酬格差はビジネスの世界でも当たり前になっていく。日本企業は即戦力を求めている。ファミリーマートに引き抜かれた足立氏のように、他社で実績を上げた「人材の市場価値」は確実に高まり、活躍する機会はますます広がっていく。
プロになることが成功を意味するわけではない。「プロとして結果を出し、より上の世界で成功をつかむかどうか」が試されている。
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