1つめは、「『プロとアマ』の報酬格差が広がる」ことである。
日本企業でも「報酬格差」は当たり前になっていく
多くの日本企業は「変革」に迫られている。コロナの影響で、市場が縮み、「これまでのビジネスモデルのままでは通用しない」のは明らかである。
その変革を推進する人材が「内部」にいればよいが、残念ながらこれまでの成功体験に染まった同質的な人間だけでは、変革を進めることは困難である。
これまで内部人材にこだわってきた日本企業も、その方針を転換し、変革に必要な高度専門性を持つ人材は「外部」から積極的に起用するようになってきている。
例えば、トヨタ自動車は「総合職の採用に占める中途採用の割合を中期的に5割にする」と発表した。実際、自動運転技術の開発子会社を2019年に設立したが、その会社が新たに採用する社員の半数以上は日本国外から採用するという。
トヨタが外部人材の採用を強化すれば、それはドミノ倒しのように波及する。トヨタに人材をとられた会社は、その穴を埋めるためにほかの会社から人材を引き抜かざるをえなくなる。こうやって、「日本における人材流動化」は急速に高まっていくだろう。
こうした高度専門性を持つプロ人材を採用するには、これまでの給与体系とは異なる「市場価値に即した報酬」を支払う必要がある。例えば、富士通やNTTドコモは、年齢に関係なく「年収3000万~5000万円」を支払える制度を開始した。
こうした動きはIT業界にとどまらない。明治安田生命は、ITや資産運用など10分野の専門人材には執行役員に相当する「年収3000万円」を支払う人事制度を新設する。
同じ会社に勤めていて、同じ年齢なのに、かたや5000万円もらう人がいれば、かたや500万円の人もいる。こうした「報酬格差」が日本企業でも当たり前になっていくだろう。「会社の変革をリードする市場価値の高いプロ人材」と「決められた仕事しかできないアマチュア人材」の報酬格差は間違いなく拡大していく。
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