感染者ゼロ「八丈島」の島民たちが抱える葛藤

観光業などを営む住民の本音を聞く(前編)

多くの観光客が訪れていたが、飛行機の減便が島民の生活を一変させた(写真:sparrow /PIXTA)
一時、収まりかけていた新型コロナウイルスの感染者数が再び激増している。東京都では日々報告される感染者数が300人に迫るなど収束の兆しが見えない状況だ。市中感染の広がりが懸念される状況の一方で、コロナ関連情報のほとんどは中央から発信されている。東京から遠く離れた島嶼部に暮らす人々は、コロナ禍とどう向き合っているのか。これまで感染者をゼロ(7月20日時点)に抑えている東京の離島・八丈島の人々の生の声をリモート会合で聞いた(取材日=7月8日)

コロナの感染者が増え続ける中、東京都の中で感染者ゼロに抑え込んでいるのは、奥多摩町、檜原村と、御蔵島を除く島嶼部しかない(7月20日時点)。その数少ない自治体の1つが伊豆七島・八丈島の八丈町だ。東京から287㎞離れた八丈島の面積は約69㎢、人口は7287人(7月1日現在)の小さな町である。島では農業(花き観葉植物栽培)、漁業、そして観光関連を主要産業としている。

八丈島での感染拡大に強い危機感を抱く

島外から多くの旅行客が訪れる八丈島では、「八丈島への不要不急の来島については、強く自粛を要請します」(4月27日)とホームページなどで来島自粛を強調してきた。町民に向けても、「町民全員で手を携えながら、一丸となってこの危機を乗り越えていきましょう」と呼びかけている。

小さな島だけにひとたび感染者が発生したら、拡大を抑えるのは大変だ。町立八丈病院は「(新型コロナの)重症患者が入院可能な陰圧室が2部屋(2床)しかなく、人工呼吸器も4台しかありません」と町民に感染予防を訴えている。

緊急事態宣言の解除、東京都の自粛緩和が示された以降も気を緩めず、島では「八丈町の『新しい生活スタイル』について」という行動指針も示した。そこでは3密防止策に加え、島民が上京したとき、帰京したときの行動指針についても具体的に記載されている。

また、観光事業者に向けにも「万が一観光客が発症した場合には、保健所の指示に従い2日前までの行動歴と濃厚接触者を把握できるような対応を行ってください」との指針を示している。東京・竹芝桟橋や八丈島空港では検温も実施するなど、何が何でも島にウイルスを持ち込ませない、という強い意志を感じさせる対応だ。

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