東大寺と日本の仏教の長い歴史からみて、コロナ禍は日本人の意識をどのように変えていくのか。華厳宗管長・東大寺別当の狹川普文氏に話を聞いた。
宗教者同士が「正午の祈り」を実現
――毎年、春の到来を告げる風物詩でもある修二会は今年で1269回目を迎えました。とくに本行が始まった3月1日は新型コロナウイルスへの警戒感が高まりつつあった時期と重なりました。どのような感染防止対策を取ったのですか。
修二会では練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ぶ11人の僧侶をはじめ、約40人が一緒に参籠するが、手洗いと体温などの健康チェック、アルコール消毒を全員に徹底した。例年ならインフルエンザの時期で熱を出す若い者がいるが、今年はだれも熱を出さなかった。消毒を徹底した甲斐があったと思っている。
休憩時にはお堂の扉を開け放って換気をし、参拝者にもマスク着用と手洗いを呼びかけたり、間をあけて座ってもらったりと例年にない対応をとった。心配はしていたが、1人も感染者がなく、無事に終わることができた。


















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